筆者は先ほど、イスラエルのヘブライ大学の学術会議に出席した。筆者は会議後、あるイスラエルの若き学者と会話し、パキスタンの研究で日本の外務省から資金援助を受けていることを知った。筆者はこれに興味をそそられた。
筆者がこの学者と話し知り得た情報によると、外務省は中東のシンクタンクや非政府組織に対して長期的に資金援助を行っており、パレスチナ・イスラエル問題など中東の研究を奨励している。この歴史は1970年代の第四次中東戦争まで遡ることができる。当時誕生したばかりのOPECは石油の輸出禁止措置を講じ、世界的なオイルショックが生じた。中東の石油の輸入に強く依存する日本経済は大打撃を受け、工業生産力が20%以上も低下した。
日本はそれから、中東の研究機関と民間組織への資金援助を開始した。これには主に、次の2つの目的がある。まずは、資金援助の基金を設立し、中東の第一線の研究成果を手にし、地域情勢への理解を深める。次に、資金援助により公共外交を推進し、地域のインテリと民間組織の日本への好感度を高めることで、地域の衝突の日本への影響を和らげる。
筆者は多くの啓発を受けた。これまでは中国の対外交流は、中国に対する承認と理解を深めるべきだと考えていた。しかしこのイスラエルの学者の経験は、別の考え方をもたらしてくれるかもしれない。平和的に発展する中国が、世界との良好な交流とソフトパワーによる影響を実現するためには、自国の宣伝に力を入れ他者の理解を得るほか、他者の自国に対する研究を通じ中国のソフトパワーを輸出するべきだ。関連機関は外国人を中国に招き、中国問題を研究させるほか、外国人が自国で自国の問題を研究することを支援できる。一部の外国の民間組織や研究機関への支持を適度に強化することで、その成果を自国のために用いるべきだ。
「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)の推進、中国の特色ある大国の外交理念の提案に伴い、中国が国際構造を積極的に構築する力が強まる。受動型から能動型へ、周辺から中心に移る過程において、我々はより外向きな心を持ち、利用可能なすべての力を活用するべきだ。(筆者:周亦奇 上海国際問題研究院比較政治研究所の学者)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年1月3日