日本の甘利明経済再生相が違法献金疑惑で窮地に立たされ、政府・与党内からは内閣の経済政策が停滞することへの警戒感が出ている。27日付読売新聞が伝えた。
「アベノミクス」関連施策を一手に担う甘利氏は、経済成長を重視する「リフレ派」の理念を安倍首相と共有する数少ない存在だ。疑惑が甘利氏の辞任に発展した場合、「代役不在」に陥る懸念を指摘する声もある。
世耕弘成官房副長官は26日の記者会見で「説明責任を果たした上で、強い経済の実現という目標に向けて取り組んでいただけると思う」と述べ、甘利氏の続投に期待感を示した。政府・与党は、28日の調査結果公表後に甘利氏の進退を判断する方向だが、留任を期待する声が根強い。
自民党の谷垣幹事長は26日、来月4日のニュージーランドでの環太平洋経済連携協定(TPP)署名式に関し、「甘利氏に行ってもらうのがあるべき姿だ」と述べた。政府高官も「交渉を大筋合意に導いた功績を考えれば、甘利氏しかいない」と強調。
甘利氏の担当施策はTPPに加え、景気回復や成長戦略、財政健全化など経済全般にわたる。甘利氏が取り仕切る経済財政諮問会議と産業競争力会議は、疑惑が浮上するさなかに今年の初会合を開き、議論を開始したばかりだ。甘利氏に政策の推進役を期待してきた政界からは「甘利氏が辞任すれば、春までに打ち出す政策が滞ってしまう」(経済官庁幹部)と困惑の声も上がっている。
アベノミクスは金融緩和や財政出動などで景気回復と経済成長を優先し、税収増によって財政健全化と両立させる「リフレ派」の理論が基本だ。甘利氏は、その旗振り役を務めてきた。財政規律を重視する財務省を束ねる麻生財務相と首相の意見が異なる場合、甘利氏が緩衝の役割も果たしてきた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年1月28日