共同通信社など複数のメディアは、岸田文雄外相の4月頃の訪中計画が実現困難になると報じた。中国が岸田外相を受け入れようとしないにせよ、岸田外相が訪中の意向を持たないにせよ、中日は南中国海と朝鮮の核問題で異なる立場を持つことから、岸田外相が訪中できない主因はこれのように思われる。
安倍政権がこの1年間に渡り、中国の南中国海の主権維持に対して何をしてきたかは、振り返ればすぐに分かることだ。中谷元防衛相は昨年2月3日に開かれた記者会見で、「南中国海情勢の日本への影響が拡大している」と述べた。4月17日に開かれたG7外相会合は、中国を念頭に置いた、過去に例のない「海洋安全問題共同声明」を発表した。その黒幕とは、いったい誰だろうか?外務省筋は共同通信社に対して、「G7加盟国のうち、アジアの加盟国は日本のみだ。日本がやらなければ、誰がやるというのか」ともっともなことを言った。安倍政権は6月8日のG7サミットで、この多国籍の場を再び利用し、いわゆる「共同声明」を発表し、中国のイメージダウンを図った。安倍首相は「中日関係の改善に尽くす」と繰り返しているが、なぜ言行不一致なのだろうか、無駄口をたたく必要はあるだろうか?
当然ながら、安倍首相らが口先で各国に働きかけ、火中の栗を拾おうとしているならば、それはうぬぼれというものだ。安倍首相らが中国の核心的利益を無視し、南中国海の情勢を乱すことには、アジア太平洋に回帰し戦略のリバランスを実施する米国に迎合するという深い原因がある。
安倍政権は昨年9月19日、大多数の日本人と野党からの強い反発を顧みず、参議院で安保関連法案を強行採決し、戦後日本が長年守ってきた専守防衛の政策を変えた。安倍首相はその目的について、「安保法制は南中国海の中国が相手だ」とはっきり説明している。
日本は中国が「日本の対朝鮮制裁の対応に不満を持つ」と言っているが、これは中日が朝鮮半島の非核化をめぐる問題で根本的な食い違いを抱えているというわけではない。日本には、別の狙いがある。それでは日本が「日本の対朝鮮制裁の対応に不満」と称する原因とは何だろうか?注目すべきは、安倍首相が2012年末に再任した後、「朝鮮半島の危機」を口実に軍拡を進めてきたことだ。朝鮮は今年1月6日、「水爆実験」により4回目の核実験を行ったと発表した。日本は2月6日に、沖縄県・石垣島へのミサイル迎撃システム「PAC3」の緊急配備を開始し、この機に乗じ南西諸島の防衛を強化した。日本はその後さらに、「朝鮮の脅威」に対応するため、THAADを配備することで、既存のアップグレード後のミサイル迎撃システムと3段構えの態勢を敷くことを検討すると表明した。しかし日本は当初からTHAAD配備を計画していた。朝鮮が4回目の核実験を実施する前の2015年11月23日、中谷防衛相は米ハワイを訪問した際に、日本はTHAADの導入を検討していると表明した。日本が再び、事にかこつけたことは明らかだ。THAADはカバー範囲が広く、特にXバンドレーダーの観測範囲は朝鮮半島を念頭に置いた防衛の需要を大幅に上回り、アジア大陸の奥地に浸透する。これは中国の戦略的な安全の利益を直接損ねる。
習近平総書記は2013年1月28日、「いかなる外国も、中国が自国の核心的利益を取引に用いること、中国の主権・安全・発展の利益を損ねる苦い結果を受け入れることに期待してはならない」と強調・指摘していた。安倍首相らは、中国のこの立場に揺るぎがないことを理解しなければならない。岸田外相が訪中するにせよしないにせよ、中国のこの立場を無視すれば、「中日関係の改善の重視・努力」は非現実的な話になるだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年2月23日