日本政府がロシアとの北方四島(ロシア名・南クリル諸島)問題の打開策として、日ロ両国による共同統治案を検討していることが分かった。日本メディアが伝えた。
最終的な帰属の扱いで対立する国後・択捉両島などでともに主権を行使する手法で、双方が従来の主張を維持したまま歩み寄れる可能性があるとみている。日本は北方四島のどの島を対象にするかや施政権をどちらの国にどの程度認めるかなど複数の案を用意し、ロシア側との全面協議に入りたい考えだ。
これは5月のソチでの首脳会談で安倍晋三首相がプーチン大統領に示した「新しいアプローチ」による交渉の一環で、山口県で12月15日に予定する日ロ首脳会談での協議入りを探る。
ロシア政府はこれまでの接触で、日本側の意向を一定程度把握しているもようで、課題の洗い出しの作業に入ったとの情報もある。
日ロが北方四島問題を巡り共同統治による打開策で基本合意できれば、両国で結べないままでいる平和条約の交渉も加速するのは確実だ。
日本政府は北方四島の帰属を解決したうえで平和条約を締結する立場だが、1956年の日ソ共同宣言に明記した歯舞群島と色丹島を引き渡す「2島返還」での決着を目指すロシア側との接点を探るには一定の譲歩は避けられないとみている。
日本は共同統治案を「引き分けによる解決を求めたプーチン氏の意向を踏まえた打開策」(首相周辺)と位置づける。4島を実効支配するロシア側にも譲歩を求める内容でもあり、プーチン政権は日本に要求している経済協力の進展も見据え、受け入れの可否を決めるとみられる。