スキャンダルに陥り支持率が急落した政府は、いかに巻き返しを図るべきだろうか。自らを省み、問題を直視しこれを解消することが、理性的な答えであることは明らかだ。ところが日本の安倍内閣は、そう考えていないようだ。
民意の強い反発を受け、安倍首相は内閣改造で支持率を取り戻さざるを得なくなった。しかしこの姿勢は、国民の不信感を払拭していない。朝日新聞が8月5、6日の両日に電話で行った全国世論調査の結果によると、学校法人加計学園の問題について、同学園が優遇されたという疑惑は払拭されていないが83%に達した。安倍首相が6日、広島で原爆投下72周年祈念活動に出席した際に、多くの市民が抗議集会を開き、退陣を求めた。
ところがこれは安倍内閣の「執念」、すなわち改憲にまったく影響していない。
新内閣は右翼カラーを濃く残している。安倍首相は独断専行し、あくまでも計画通り改憲日程を進めようとしている。広島の「原爆祈念」の犠牲者追悼式では、政府は「防衛計画の大綱」の見直し、ミサイル防衛と南西諸島の防御の強化を検討していると明言した。
さらに8日の閣議では、2017年版「防衛白書」が承認された。この白書は使い古した表現を用い、中国に関する内容が昨年より増加し34ページに達した。中国の正常な軍事活動と正当な国防建設を勝手に論評し、海洋安全問題を利用し「中国の脅威」を重点的に喧伝した。これは日本を含む地域と国際社会の安全保障環境に影響を及ぼし、「強く懸念する」とした。
安倍内閣が再び「中国の脅威」を喧伝しているが、これには明らかに野心がある。
誰が「強い懸念」を抱かせているのだろうか。答えは難しくない。フィリピンの首都マニラで6日開かれた中国・ASEAN(10プラス1)外相会議において、「南中国海行為準則」枠組み文書が順調に承認され、南中国海情勢に前向きな流れが見られた。ところが米日豪の外相は7日に会談を開き、共同声明を発表した。南中国海の当事国に対して「土地埋め立て、前哨基地の建設、係争中の土地・海域の軍事化」の回避を高圧的に求めた。共同声明はまた、中国とフィリピンに2016年のいわゆる国際仲裁を遵守するよう求め、この仲裁が「双方に法的拘束力を持つ」と強調した。
誰が事を構え、揉め事を起こそうとしているのだろうか。この地域の平和と安定の流れを望まないのは誰だろうか。
就任以降、安倍首相は靖国神社を参拝し、「不戦の誓い」をかなぐり捨て、歴史教科書を改訂し、新安保法案と「共謀罪」法案を強行採決し、改憲日程を意固地に推進している。しかも改憲を促すため、安倍内閣は「中国の脅威」の喧伝に全力を尽くし続けており、さらには他国の裏で火を煽り、地域と隣国を不安にさせている。
誰が地域安全の「脅威」であるか、その答えは自ずと明らかだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年8月10日