東京電力福島第1原発事故の当日に原発敷地内にあった車両のうち、社員の自家用車など約460台が外部に持ち出され、一部は汚染されたまま中古車市場などに流通していたことが8日、東電などの発表で分かった。避難や帰宅に使われた後、転売されたとみられる。
東電は約3年間の追跡調査で、国の基準値を超える放射線量が計測された約190台を回収したが、残り約270台は基準値を下回ったとして回収していない。2台は今も行方が分かっていない。
東電によると、基準値の10倍近い汚染が見つかった例もあった。第1原発事故直後に敷地外に持ち出された車両については、元の持ち主だけでなく、中古車として購入した所有者が汚染を知らぬまま被ばくする恐れがあることから、国は自体を重く見て調査を支持していた。持ち出し台数が判明するのは始めて。
東電の広報担当は「基準値を超えた車両はほぼ回収しており、法的に問題ない。新たに見つかればケース・バイ・ケースで対応している」と話した。
原発敷地内で放射性物質が付着し、基準値を超える汚染廃棄物は、外部への持ち出しが原発事故前から法令で禁じられている。さらに事故後、汚染された車両は除染が必要になる基準値未満に線量が下がらなければ、避難区域外への持ち出しも禁止された。
東電によると、事故当日に第1原発の敷地内にあった車両は約1700台。11日後の3月22日までは放射線検査をせずに外部に持ち出すことができたという。事故直後の混乱の中、約460台が社員らの避難などに使用され、流出したとみられる。23日からは検査と除染を始め、線量が一定レベル以上の場合は外部に出さないようにした。
東電は2012年2月に、敷地内に車両を置いていた社員や協力企業にアンケートを実施した。約2年間で、中古車ディーラーなどの協力を受け、徐々に回収した。
2015年4月に、流出した大半の車両が特定された。現場の検査によると、約190台が回収され、現在は福島県の帰還困難区域にある東電の敷地内に保管されている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年8月11日