左と右は相対的な概念だ。そのため最近のいわゆる自民党「一強」は、党外部の政治制約要素から考えると、実際には日本政界における左翼政党の普遍的な衰退と沈黙が、日本の政治環境の歪んだ発展を促した結果と言える。
資本主義諸国において、政党の民意の基盤、価値観、施政方針とその効果には、累進的な連動の関係がある。日本社会が「一億総中流」時代に入ると、左翼政党の革命的な発言は国民の需要と一致しなくなり、本質的に価値観や人々の基盤から乖離していった。変化に適応するため、左翼政党のほとんどが方針変更を選択した。その中で政治スローガンの「労働者・サラリーマン」階級を励ます効果が急激に弱まり、その他の中道・右翼政党の施政方針との合流に向かった。これは社会の各階層の利益が全体的に同質化したことを反映している。
日本政界の左翼勢力の代表である、日本共産党の現在の基本方針も、現代日本社会の変化の流れを反映している。しかし日本共産党の価値観は依然として、マルクス主義の有名作家の論述を引き継いでいる。価値観は政党の身分を特定するコードとして、既存の左右の特徴を留めている。しかしその一方で、社会のモデルチェンジにおいて、社会の発展の流れと完全に一致できなくなった。日本共産党と同じく左翼の社民党はモデルチェンジの失敗により、非主流化が深刻になっている。その政治方針は現代日本社会において、「下層」とされる人々から注目を集めにくくなっている。欧州諸国の社会民主党のように、高い政治的影響力を維持するのは不可能だ。
NHKの今週の支持率調査によると、自民党の支持率は34.8%、連立与党を組む公明党は3.7%となっている。その他の政党を合わせると11.1%で、不支持率は45.7%にのぼる。言い換えるならば、現在の日本の政界では左翼と極右(日本維新の会)の支持率が驚くほど低く、国会選挙で自民党の与党としての地位を揺るがす実質的な脅威にはなっていない。
日本の政界における左翼の「沈黙」は、日本国内の政治バランスの乱れを引き起こし、政治環境が悪循環している。
まず政党の資源配置の「マタイ効果」だ。1980年代以来、左翼政党の政治基盤が大きく弱まり、得票率が低くなっていった。左翼政党は多数を集め、自民党を中心とする右翼勢力と対抗できなくなった。これにより今日、右翼が強まり左翼が弱まるばかりとなった。
次に左翼勢力の不振により、右翼政党に対する政治的なけん制の機能が失われている。右翼一強は長期化・常態化の流れを示している。これは日本社会の「右傾化」「保守化」に政治的な駆動力を与えている。選挙で自民優勢が続き、上述したマタイ効果がより顕著になる。
それからさらに恐ろしいのは、戦後日本の民主化改革の成果である議会内閣制における(日本近代史の明治維新によって確立された絶対主義の天皇制と比べた)民主の機能が、大幅に低下したことだ。自民党を始めとする右翼「一強」の流れが日増しに固まり、議会制の日本にとって民主政治の意義での「反対党」「野党」が形骸化している。政党を代表とする議会制民主主義が、日本で有名無実化している。
安倍一強、自民一強、右翼一強という一連の現象を、逆方向に見直すとこうなる。日本社会の普遍的な右傾化と保守化により、不支持率が支持率を上回りながらも、自民党の支持率が依然としてその他の党の合計の倍以上に達している。自民党政権を、現代日本の名実相伴う「自民党幕府」といっても過言ではない。日本の国会は、自民党が長期的に「親」を務める賭博場にすぎない。
上述したように、日本国内の右翼勢力は猛威を振るい、自民党は集団的自衛権の行使容認、平和憲法の規制解除という邪道を歩み続け、中国周辺の地政学的舞台で事を構えている。これは日本の左翼が全面的に勢力を失い、日本の政界と社会で沈黙し、国内政治環境のバランスが乱れたことによる重大な悪影響の一つである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年8月14日