中国人が日本に出張や観光に行った後の感想について書いた文章を見ると、その多くが日本を称賛する声だ。ほとんどの中国人が日本の都市が整然としていて清潔感があり、社会も秩序正しいと感じている。そして、日本の高齢化や疲労感に注目しているのは、日本のことをよく理解しているごく少数の人だ。(文:陳言。瞭望東方周刊掲載)
中国人は日本の都市の美しさに称賛の声を上げているものの、日本の有識者らは都市の構造や建設の見直しが急務であると、危機感を募らせている。
東京デザインセンターの船曳鴻紅(ふなびきこうこ)代表取締役社長もそう感じているうちの一人で、「東京のような繁栄しているように見える大都市には、すでにかなり退化しており、デザインを強化し、レベルアップさせなければならない地域もいくつかある。一方、位置づけとデザインを見直した一部の中小都市は、今後の都市発展においてその実力を発揮し、輝きを増すだろう」と率直に語った。
そして、「将来、魅力や競争力のある都市になれるかは、『デザインの力』にかかっている」との見方を示した。この見方は、日本の政府や自治体にも重視されるようになっている。
都市計画の面で、日本は以前、商業機能や工業生産の構造を重視し、現代都市の象徴とも考えられていたため、大型ショッピングセンターや各種工業団地(工業パーク)が都市計画において最も重要な位置を占めていた。
人口が少なく、景気も悪いため、車で日本各地を走っていると、使われていない工場や客のほとんどいない商店街などをよく見かけ、「都市衰退」という既視感を覚える。
生活の魅力、文化の魅力、地域の魅力がある都市というのが船曳社長の「デザインの力」の主な方向性だ。