「中等国」は日本の「常態」

「中等国」は日本の「常態」。

タグ:日本 産業革命 

発信時間:2017-08-28 10:08:02 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 米ニューズウィーク(日本語版)は最新号の「日本を待ち受ける2つの未来」と題した記事で、3つの興味深い観点を示した。まず、東アジアの超大国は中国であり、日本は周辺の中等国に過ぎない。これは古来、東アジアの「常態」だというのだ。次に、日本はアヘン戦争後の約100年間に渡りトップの地位を維持しただけであり、歴史の大河においては一瞬の出来事だ。それから、日本は過去30年間でこの強みを徐々に失い、「常態」に回帰しようとしている。この記事は直ちに日本メディアと人々から注目された。日本は自分の心を正すべき時が来たのだろうか。

 

 筆者はこの3つの観点は、実情に即していると考えている。中国の学者も似たような観点を持っている。国土面積が世界62位、人口が世界11位の日本は、中小国にしかなれない運命だ。この運命が、すなわち「歴史の常態」である。

 

 「日本はアヘン戦争後の約100年間に渡りトップの地位を維持しただけで、一瞬の出来事」とは、明らかに「非常態」である。周知の通り、英国は1860年代に第一次産業革命を終えると、第二次産業革命を開始した。独仏米なども、産業革命と技術革命の渦に巻き込まれた。これを背景とし、日本は1868年に明治維新を開始し、「富国強兵」「殖産興業」政策を推進し、植民地をめぐる西側諸国の争奪戦に加わった。

 

 産業革命と技術革命という時代の流れを追う日本は、「遅刻者」であり「後発者」でもあった。産業革命と技術革命のチャンスを逃し、「大きいが弱い」隣国の中国に「幸運」にも出会った。中国の「大きさ」は、国土が狭く資源が不足している日本にとっては垂涎の的だ。中国の「弱さ」は、遅れた工業国の日本に対して、「いじめてやろう」という野心を抱かせた。

 

 産業・技術革命の興隆、「大きいが弱く時代遅れ」の中国(及びその他のアジア弱小国)は、日本が強くなるためつかむべき「2大チャンス」になった。余りにも強くつかみすぎたため、明治維新以降の100年以上の時間において、日本は勝利のピークと敗北の谷底という激しい浮沈が生じる国の「典型例」になった。

 

 第二次大戦後、日本は世界2位の経済体になり、一定期間に渡り世界で最も競争力のある国とされた。これは戦後1−2世代の日本人の努力の賜物であり、日本が戦後の「新2大チャンス」をつかんだ結果でもある。まずは戦後の技術革命発祥地となった米国を後ろ盾にし、戦後技術革命のチャンスをしっかりつかんだ。次に戦後の「ベビーブーム」(男たちが戦場から戻り、第一次ベビーブームを生んだ。日本ではこの世代生まれの人を、団塊の世代と呼ぶ)により、人口の平均年齢が下がるというチャンスが生まれた。

 

 現在の日本は「超高齢社会」「人口減少社会」に突入し、ベビーブームはとっくの昔に「シルバーブーム」に変わっている。日本の多くの学者は著書の中で、この国の前途に懸念を示している。日本の2016年の総人口は33万人減少した。農業・漁業・小売業・サービス業・製造業の生産現場において、人手不足の問題が散見している。2020年代にはさらに人口が620万人減少し、その後は毎年100万人のペースで減少を続ける。2024年には国民の3分の1が65歳以上となる。2033年には住宅の3分の1が空き家になり、介護を受けられない高齢者が増え続ける。日本では将来的に、毎週4000人が「孤独死」する可能性がある。

 

 日本が効果的な改革を打ち出さなければ、数十年後の日本各地には廃墟が広がることになる。戦後の「戦争の廃墟」から近い将来の「平和な廃墟」に移る。これは日本の識者が現状と実情に基づき発した予想と警告だ。

 

 ところが今の日本の政治家は事実を直視する精神に完全に背いている。現職の安倍晋三首相は依然として「強い日本の夢」を見ており、さらに改憲により日本を「戦争のできる国」にし、そのために「中国脅威論」の喧伝に力を入れている。その行いは日本の基本的な国情から大きく外れており、平和的発展の時代の求めにも背いている。特に日本の政治家は日本の「大国の夢」を制約しているのが、日本自身の条件と国情であることを認識していない。言い換えるならば、日本の真の「敵」は国内外の間違った政策であり、それにも関わらず中国のせいにするならばまさに自明の理というものが欠けている。

 

 日本がいま最もすべきことは、中国の発展を包囲しけん制するという間違った政策を、言行ともに変えることだ。(筆者:馮昭奎中国社会科学院栄誉学部学院、中国中日関係史学会顧問)


 「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年8月28日

 


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