中国の李克強総理は日本の安倍晋三首相の招待を受けて5月8日から11日まで同国を公式訪問し、第7回中日韓サミットに出席する。長年曲折と起伏を経てきた中日関係が、今日ついに重大な転機を迎えた。中日関係の立て直しは、アジアの隣国である中日両国間にとって重要である、または中日関係の改善につながるというだけのことではない。中日関係の立て直しは、アジア太平洋地域全体の情勢、さらには全世界の大勢の変化に計り知れない影響を与える。(文:厖中鵬・中国社会科学院日本研究所副研究員)
第1に、今年は中日関係の改善にとってチャンスの年であり、中日関係の立て直しは得難いチャンスを迎えている。中日関係の友好的発展を切に望む各界の人々はみな、中日関係を正常な発展の軌道に戻すことを心から望んできた。李総理の今回の訪日の重要な日程の1つが条約締結40周年記念レセプションでの演説であることは、中日関係の友好的交流の初心を新たにし、中日関係の安定的発展という正しい道を開きたいとの中国側の考えをはっきりと示している。ちょうど40年の歳月が過ぎたが、条約は核心的精神が時代後れになっておらず、依然として中日関係の安定的発展を指導する重要な綱領的文書だ。今後の中日関係発展においては、条約の原則と精神をしっかりと遵守する必要がある。特に日本側が、もっと信頼を重んじ約束を守り、40年前の初心を忘れないことで初めて、中日関係には未来がある。
第2に、中日関係の改善は現実的に必要なことであり、情勢の推移による必然的選択である。中国の打ち出した重大なイニシアティブ「一帯一路」は、すでに世界の多くの国々と国際組織が前向きに応じており、積極的に参加している国が少なくないうえ、重大な早期収穫を少なからず得ている。アジアにおける中国の隣国であり、改革開放以来一貫して中国と深く経済・貿易関係を発展させてきた国である日本にとって、「一帯一路」という大きな商業貿易圏から孤立し続ける理由はなく、中国という巨大な潜在的発展力を持ち続ける市場を放棄する理由はない。2017年に中日間の貿易額は3000億ドルの大台に戻った。日本の対中投資は回復を加速し、中国から日本へのクロスボーダーEC、モバイル決済、シェアリングエコノミーなどニューエコノミーモデル投資は増加し、訪日大陸部中国人観光客は延べ730万人(前年比15%増)を超えた。これらの統計は中日関係の重要性、特に日本にとっての発展の重要性を別の側面から物語っている。日本は冷静に現実を考え、中国の発展を客観的・公正に受け止め、対中関係を改善し、対中関係を引き続き深化・発展させなければならない。これが日本の政界にとって理性的で知恵のある選択であるはずだ。
第3に、中日関係が正常な軌道に戻ることは、北東アジア地域を含むアジア太平洋地域の情勢、さらには世界全体の政治情勢の発展に対しても積極的で計り知れない影響を与える。2018年以来、中国が断固として理性的な主張をし、かつ仲裁・調停を積極的に行ったために、朝鮮半島核問題は希望の光が差し、北東アジア情勢は危機からの転換を迎えた。中国の果たした役割は誰の目にも明らかで、大きな功績であり、国際社会は力強く責任を担う大国の姿を目の当たりにした。中日関係の改善によって日本は北東アジア情勢の仲裁に積極的に参加する機会を得ることができる。さらに重要なことに、中日関係の改善は、続いて迎えうる日朝首脳会談の開催に対して重要な推進作用を果たしうる。もし中日関係が改善されれば、日朝首脳会談も実現しうる。そうすると北東アジア情勢の緩和に自ずと益する。そして北東アジア情勢の緩和が続けば、アジア太平洋地域、さらには世界全体の政治の大勢が緩和と安定へと向かう希望と福音がもたらされるのは間違いない。
中日関係の改善がまだいくつかの試練と問題を抱えていることは確かだ。特に日本政界には中日関係の友好発展を望まない極右勢力がまだいる。中日関係の完全な立て直しには、日本側、特に政界上層部が情勢を挽回し、万難を排する戦略的揺るぎなさ、戦略的先見性、戦略的知恵を持つことが不可欠だ。今後中日関係がどのような妨害や困難に遭遇しようとも、日本側が習主席と安倍首相が5月4日の電話会談で指摘したような「約束を誠実に守り、決まり通りに事を処理し、矛盾や溝をうまく管理・コントロールし」「大局と長期に着眼し、両国の根本的利益にかない、地域の発展に資する選択をする」のなら、中日関係は必ず長期的で順調な発展を得られる。(編集NA)
「人民網日本語版」2018年5月10日