中日双方の共同努力の下、このところ中日関係に比較的強い改善の勢いが見られる。日本の安倍晋三首相もついに再任後初となる正式訪中の時を迎えようとしている。冷戦後の日本で首相在任期間が最も長い安倍首相が、就任から6年近くも経ってようやく初の正式訪中の機会を得たことは、ここ数年中日関係が置かれている困難な状況を反映していると同時に、今回の安倍首相訪中が両国関係にとって重大な意義を持つことも意味している。これについて、安倍首相は首脳同士の相互訪問を通じて「日中関係を新たな段階に引き上げていきたい」との考えを示した。しかし、ここ数年の中日関係の困難はある個別の単純な出来事によるものではなく、戦略構造的な苦境である。従って、今回の訪問を中日関係発展における段階的象徴にしたいのであれば、安倍首相がやるべき事はまだ多いだろう。将来の中日関係には、ここ数年の戦略的苦境を反省・解消し、さらに新時代を睨んで両国関係発展の目標とアプローチを確定することが求められる。
一、中日関係回復基調の中でも求められる反省
今回の中日関係の回復には内部の原動力もあったが、こうした転換を促した主な要因はやはり外部環境の変化である。これは中日が国交を回復し正常化した際の状況と若干似通っている。もう一点相似しているのは、中日関係悪化を招いた問題について明確かつ徹底的な処理を行っていないことである。中日国交正常化の際、中日間の歴史問題は理念上はっきりと処理されなかった。日本はかつて中国を侵略したことを正式に認めていないし、中国に対し文書で正式に謝罪していない。そのため、中日国交正常化から40年が経っても、安倍首相が依然として侵略の歴史を否定できるという事態を招き、中日関係が再び苦境に陥ったのである。さらに、今回中日関係が対立性競争状態から突然「協調追求」状態に入ったことも、いっそう中日関係悪化の原因を探る機会を失わせる要因になった。
しかし、ここ数年中日関係が苦境に陥った原因に対する冷静な認識と反省がなければ、将来の中日関係の順調な発展は依然として難しいだろう。今回の訪中日程について、安倍首相はもともと10月23日を希望していた。この日が「中日平和友好条約」締結40周年の記念日であり、この日に訪中すればより際立った象徴的意義があると安倍首相は考えたからだ。しかし最終的に、日程は25日に決定した。世論はこの件についてあれこれと推測している。こうした推測はまさしく中日関係の不確定性に対する懸念を反映している。
しかし明らかに分かる客観的原因は、23日が日本の「明治維新」150周年の「記念日」に当たり、安倍首相が当日記念式典に出席予定であることだ。日本の菅義偉内閣官房長官は、記念式典を通じて「明治以降の日本の歩みを振り返り、未来を切り開く契機とする」と述べている。
実際のところ、いかにして「明治維新」以降の日本と、西側諸国が東アジアに侵入した後の世界の変局を反省するかは、本質上、人類の歴史に対して再認識することである。「明治維新」は日本の歴史に影響しただけでなく、東アジア地域の歴史にも極めて大きな影響を及ぼした。「明治維新」は古い東アジア文明にとって変革と富強の模範となった。しかしその一方で、「明治維新」によって日本は西側社会のダーウィニズムと自国の強者をあがめ尊ぶ文化とを結びつけ、西側諸国を模倣し、帝国主義侵略拡張の道を歩み、東アジアの人々に甚大な災難をもたらすこととなったのである。
日本の現在の反省は安倍首相の強国路線に従って行われているため、明らかに狭隘すぎる。反省は明らかに「変革」と進歩の関係を軽視しており、その関心はより「富強」精神に向いている。そのため国際問題を観察・処理する際、日本は依然として19世紀のロジックに従っている。それが原因で、中日間が認識について意思疎通する際、思想上はっきりとした時代的なギャップが生じている。
こうしたギャップは中日間の相互認識にとって極めて大きな障害となった。ここ数年、中国が人類社会の未来の発展に着眼し、「調和の取れた世界」と「人類運命共同体」を提唱している時に、日本は帝国主義の覇権争いの経験に基づいて「中国脅威論」を声高に叫び、中国に対し日本の第1次世界大戦時の轍を踏むなといかにももっともらしく「注意喚起」してきた。同様に、こうした経験とそれによって長年にわたって形成された心理から、米国の霸権主義行為については従属や支持、追随、ひいては借用の態度を取る一方で、中国の正常な発展に対しては絶えず警戒を高めろと声高に叫び、さらに米国と協力して中国を「抑制」する政策を取っている。それと同時に、日本は新疆独立、チベット独立、台湾海峡、南中国海など中国の主権と核心利益に関係する一連の問題についても、常に非友好的、敵対的、ひいては挑発的な政策を取っている。李克強総理の訪日後だけでも、日本の潜水艇が南中国海までやって来て演習を行い、日本の艦船が南中国海で英米とともに「自由航行」するなど、中国に対しいわゆる「牽制」を行った。最近では、日本側から来月ダライ・ラマがチベット独立派の手配で日本を訪問するというニュースまで伝わってきた。従って、客観的に言って、中日間は現在まだハイレベルの正常な行き来を回復し始めたにすぎず、混乱要因はまだ非常に多い。安倍首相が本当に中日関係を新たな段階に引き上げたいのであれば、首相就任以来の一連の両国関係発展に不利な政策を変えるべく極めて大きな努力を払わなければならない。