【新華社東京3月1日】日本の東京・渋谷で道行く人々にマスクを配るシカのかぶり物姿の中国人女性を映した動画がこのところ、SNS上で大きな話題を呼んでいる。動画では、マスクをしたかわいらしい子鹿が「武漢からの恩返し」と日本語で書かれた段ボール箱を抱え、マスクを次々と取り出しては1枚1枚配っている。
日本でも2月中旬以降、新型コロナウイルスによる肺炎の感染が日増しに拡大する一方、感染予防の必需品、マスクの品切れが続いている。こうした中、中国湖北省武漢市の感染状況が最も深刻な時に支援の手を差し伸べた日本の社会全体に感謝の意を表すため、多くの在日華人・華僑が自ら進んでマスクの配布に参加した。
かぶり物の女性はSNSで「鹿鹿侠」と呼ばれている。その素顔は若い起業家で、新華社の取材に「甜甜(ティエンティエン)」と名乗った。「日本の大学を卒業して日本で広告会社を起業した。この10年、中国人観光客と日本の企業のおかげで幸せな生活が送れている。中国では『我に投ずるに桃を以ってすれば、これに報ゆるに李を以ってす(どんな些細なことでも、受けた恩義には必ず返す)』という礼儀を教わった」と語った。
1月末以降、武漢での新型コロナウイルス肺炎の感染状況に心を痛めた日本の各界はいち早く支援を行った。甜甜さんは武漢のために仕事の関係を利用して日本企業から消毒用物資を調達しようと思ったが、これら日本の取引先は物資を既に武漢に送ったと答えた。しかも、それを大々的に宣伝する会社は1社もなかった。
日本も現在、新型コロナウイルス肺炎の感染拡大に苦しんでいる。甜甜さんは「マスクの配布を通じて、日本の皆さんに新型コロナウイルス肺炎の深刻さに関心を持つよう呼び掛けるとともに、国際社会にも日本のマスク不足を知らせたい」と語った。
「新華網日本語版」2020年3月1日