日本の菅義偉首相は豪州のモリソン首相との17日の共同記者会見で、日豪が二国間の防衛協力協定に署名したと発表した。これが今後の日豪両軍の相互訪問の強化、双方の領土におけるより多くの合同軍事行動・演習に、法的枠組みのサポートを提供したことは間違いない。同協定の署名は日豪防衛協力のさらなる強化、日豪関係のさらなる向上を象徴するとされている。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が現在も続いている。日豪がこの時期に大々的に「円滑化協定」を発表したのは、主に中国を警戒し共にけん制する狙いがあるからだ。
日本から見ると、中日間の歴史問題と現実における領土問題は長期的に、中国との関係の妨げになっている。日本の防衛省のシンクタンク「防衛研究所」は13日に発表した「中国安全保障レポート2021」の中で、「日本としては、日米同盟の抑止力と対処能力の向上のために引き続き米国との関係を強化することに加えて、独自に防衛態勢の充実を図ることも重要であろう」とした。実際に日本は引き続き日米同盟関係の強化を外交の礎とし、日米安全協力を強化するほか、他国との協力の強化により地域における防御、特に南西方面の防御を補おうとしてきた。
豪州と中国の関係は近年、悪化を続けている。豪州は、中国側を自国の国益の「挑戦及び脅威」としている。中国への懸念により、豪州は初めて国家安全を口実とし、華為(ファーウェイ)による5Gネットワーク建設を禁じた国になった。中豪両国の軍艦は2018年以降、南中国海で数回対峙している。豪州は今年、新型コロナウイルスの発生源と感染拡大に関する国際調査を行うよう求め、中国に汚名を着せることも厭わなかった。これは中豪関係のさらなる悪化を招いた。豪政府は近年、トランプ政権のアジア太平洋における一連の戦略的行動を積極的に支持し協力するほか、アジア太平洋のいわゆる豪州と同じ価値観を持つ国との安全関係の強化を求めている。
米日豪印の4カ国の枠組み内で、日豪の中国を念頭に置く防衛協力がさらに強化される可能性がある。これが中日関係と中豪関係の不確実性を高め、かつ地域の安全と安定にも資さないことも間違いない。(筆者 楊丹志・中国人民大学国家安全研究院上席研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年11月24日