日本で貧富の格差が拡大 岸田氏は解消が困難か

日本で貧富の格差が拡大 岸田氏は解消が困難か。感染再拡大に苦しめられる日本において、貧富の格差は国会の議論の重点、各党の支持率アップのキーワードになっており…

タグ:岸田 選挙 景気低迷 

発信時間:2021-10-19 14:18:03 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 岸田文雄氏が自民党総裁選への出馬を表明し、願い通り日本の首相に就任した。「岸田政策」の看板と呼べるテーマは、「成長と分配の好循環」による「新しい資本主義」だ。この理念の軸となるのは、成長と再分配の促進により、日本で日増しに悪化する貧富の格差を解消することだ。岸田氏の主張は自民党の衆院選の選挙公約になっている。(筆者・笪志剛黒龍江省社会科学院北東アジア研究所所長・研究員、北東アジア戦略研究院首席専門家)


 最大野党の立憲民主党も分配を選挙公約の優先事項としており、貧富の格差解消に取り組み70年代の「一億総中流社会」の意識を取り戻すことを強調した。また公明党などのその他の党も、直接的もしくは間接的に貧富の格差解消への重視を示し、政策と措置を掲げた。


 感染再拡大に苦しめられる日本において、貧富の格差は国会の議論の重点、各党の支持率アップのキーワードになっており、現金給付などのさまざまな対策が掲げられている。これらは、長期的に経済成長の幻に隠されていた貧富の格差がすでに、日本社会の我慢できない民生の痛みになっていることを明らかにした。新型コロナウイルス感染症が引き続き経済の足を引っ張り、景気低迷が底層の生存の苦境を浮き彫りにした。日本の政界は重視を強いられ、経済界も傍観できなくなった。しかし岸田内閣にこの根深い問題の短期内の解消を期待するのは現実的だろうか。


 日本は戦後に経済の高成長を実現し、速やかに米国に次ぐ世界2位の経済大国になった。先進国の仲間入りを果たしてから長い期間に渡り、日本の全社会には「一億総中流」という全員が豊かになる雰囲気が満ちていた。経済は飛ぶ鳥を落とす勢いで、科学技術がめざましく発展し、生活の改善が続き、国際的な地位が向上した。これらは「一億総中流」とう自己認識を強めた。90年代のバブル崩壊後のいわゆる「失われた20年」に入っても、日本社会のこの中産階級が主流という認識には根本的な変化が生じなかった。


 しかし小泉純一郎氏が2001年に首相に就任すると、規制緩和や構造改革などの新自由主義を旗印とする競争による淘汰の政策が推進された。これは日本経済の長期成長を促すと同時に、派遣社員を中心とする貧困層を作り、「富める者は永遠に富み、貧しい者は永遠に貧しい」という新たな貧富の関係を生み出した。


 安倍内閣のアベノミクスは貧富の歪みを解消しなかったばかりか、むしろ大企業と富裕層に富が集まるペースを上げ、その厚みを増した。例を挙げると、第2次安倍内閣の2012年12月25日の日経平均株価は1万80円で、2020年8月28日の首相退任時には2万2882円にのぼった。日本の主な大企業及び富裕層は株だけで多くの利益を手にした。菅義偉氏は首相就任後、アベノミクスをほぼ完全に継承した。日経平均株価は今年9月14日に3万795円に上昇した。金融資産を持たない低所得者はため息をつくしかなかった。


 別のデータによると、昨年3月時点の大企業の内部留保は470兆8400億円にのぼっている。大企業の財布が分厚くなっているが、日本の給与所得者の平均給与は2012年11月の段階で26万1547円、昨年6月は26万1554円で、ほぼ増えていない。日本共産党はアベノミクスが貧富の格差拡大をもたらしただけで、その標榜する大企業及び富裕層の富を地方及び貧困層に届ける効果をまったく発揮しなかったと批判した。


 そのため多くの日本人は、間もなく行われる衆院選で岸田内閣の政策が問われ、安倍氏と菅氏による貧富の格差拡大に「判決」が下されると見ている。岸田氏は小泉氏と安倍氏以降の「新自由主義」から転換し、「成長と分配の好循環」を実現すると主張し、かつ成長による分配を政策の重点としている。これは日本社会の貧富の格差に対する懸念によるもので、このままでは将来的に貧富の格差の急拡大、それに伴う社会からの恨み、離れていく民意により、自民党が倒れることになるとの判断がある。

 

 客観的に言えば、岸田氏が「良好な再分配」をけん引する「金融所得課税の再調整」を主張し、岸田氏が率いる新内閣が高所得層の増税と貧富の格差問題の取り組みを表明したことで、日本人は大きな期待を抱いた。ところが岸田氏は国会答弁で後ろ向きで曖昧な姿勢を示し、自民党は公約から「金融所得課税」を削除した。そのため人々は、保守派からの支持により当選し、経済界から利益を得ていることから、岸田内閣にはアベノミクスを維持しようと躍起になる各種勢力に対抗する十分な能力がなく、また貧富の格差という根深い問題を根絶する大手術を行う意志もないことを意識している。株式などの金融所得課税の引き上げを象徴とする改革が、大企業及び富裕層の利益に手を出すことを意味するため、岸田氏は影響を恐れるばかりか意志も実行力もない。

 

 将来的に岸田氏が体裁を整えるため表面的な調整を行い、岸田内閣が数十兆円規模の刺激策を打ち出し、さまざまな名目の補助金を支給することで国民をなだめる可能性を否定できない。しかし真の喫緊の課題は、日本社会の貧富の格差の構造を正し、格差を公平に解消することだ。岸田内閣は中途半端に終わる可能性が高く、さらには成長により大企業の機嫌を取るといった従来の道を歩む可能性もある。政府と内閣が今後、この問題を思い切って根絶できるかについては今のところ期待できない。「民意に従う」のは選挙の時だけであり、「利害の天秤」こそが日本の保守政治の本質的な環境であるからだ。

 

 「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年10月19日

 

 

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