日本の核政策の正体を見抜く

中国網日本語版  |  2021-12-20

日本の核政策の正体を見抜く。米国は現在、再びパワーバランスが大きく変化し、核先制使用がすでに抑止力を失っていると感じている…

タグ:核政策 核兵器 バイデン政権 憲法

発信時間:2021-12-20 15:13:13 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 米上院は18日、バイデン政権の30人超の外交・国家安全担当者の人事を承認した。うち、オバマ政権で大統領首席補佐官を務めたラーム・エマニュエル氏が米駐日大使に就任した。(筆者・廉徳瑰 上海外国語大学日本研究センター長、教授)


 エマニュエル氏の人事では、数人の民主党上院議員が反対票を投じ、上院外交委員会の副委員長であるジム・リッシュ氏ら数人の共和党議員が賛成票を投じた。リッシュ氏らが支持したのは、エマニュエル氏がバイデン政権内で「核先制不使用宣言」に反対する可能性があると見たからだ。


 日本側はこの人事に非常に大きな関心を寄せていた。自民党の河野太郎宣伝本部長は今月7日、米シンクタンクがオンライン開催した会議に出席し、バイデン政権が議論中の「核先制不使用宣言」について懸念を表した。この動きは「中国と朝鮮に間違ったシグナルを送りかねない」と述べた。


 それでは米国はなぜ「核先制不使用宣言」について議論するのだろうか。米国は事実上、自国の戦略的な優位性を評価し、どのような核政策が最も安全で最も効果的かを検討している。米国は朝鮮による進攻をけん制するため、1957年に核兵器を韓国に配備した。米国は、南北の軍事不均衡という条件のもと、朝鮮が切羽詰まり向こう見ずな行動をすれば、核攻撃の報復を受けることになると称した。そのため核先制使用は一種の核の脅迫、核のブラフだ。


 しかし冷戦中にソ連が十分な核兵器を保有したことから、米国はこれを完全に破壊できなかった。核先制使用はソ連に対して抑止力を発揮できず、むしろ自身に致命的な危険をもたらすことになった。そのため米国では当時、核先制使用の放棄が議論された。こうすれば自身にとってより有利で、核戦争を回避できるというのだ。ところがソ連解体後の米国はこの考えを捨てた。


 米国は現在、再びパワーバランスが大きく変化し、核先制使用がすでに抑止力を失っていると感じている。これは米国が核先制使用に踏み切れば自滅にほかならず、さらには全人類に壊滅的な被害をもたらすからだ。米国の機関は報告書「米国の核兵器政策の未来」の中で、「冷戦終了後、米国の核兵器をめぐる最大の危険はロシアとの意図的な核戦争の勃発ではなく、偶発的な核戦争もしくは核拡散になっている。しかも米国に配備されている核兵器には、米国及び同盟国への核攻撃をけん制するという狙いしかない。そのため核先制不使用を宣言するべきだ」と指摘した。


 ところが現在の日本は米国のこの動きを強く懸念している。松野博一内閣官房長官は、この核先制不使用は核保有国が同時に宣言しなければ非現実的で、意義がないとの日本側の見方を示した。これは相手側が核先制使用を放棄しなければ、相手側が有利になるからだ。日本側は「中国と朝鮮の核の脅威」に直面するなか、米国が核先制不使用を宣言すれば、この「核の傘」が意義を失うと見ている。


 他にも日本が本当に懸念しているのは沖縄だ。日本は台湾海峡問題に介入しており、危険を冒せば沖縄が危険な境地に立たされることをよく知っている。日本の軍事専門家は、米日の台湾への干渉はまず、沖縄の在日米軍基地を滅ぼすことになると見ている。米国が核攻撃を回避しようとするならば、核先制不使用を宣言するのが最良の手段だ。ところが日本は、米日が中国の「極超音速兵器」に対応できないことを懸念している。そこで、これが中国に間違ったシグナルを送ることになると懸念しているのだ。


 そのため日本の「核攻撃の唯一の被害国としての立場」に基づく非核政策は、実際には米国以外の国による核兵器の保有に反対している。かつて米国から核攻撃を受けた国が今や米国の「核の傘」に依存し、米国の「核先制使用」により核の抑止力を発揮しようとしているが、これは非常に皮肉ではなかろうか。


 さらに注意すべきは、日本が自らの核の衝動を捨てたことがないことだ。日本政府は昔から核兵器の保有は違憲ではないと見ている。1957年に時の岸信介は、「核兵器と名前がつけば憲法違反かというと、憲法の解釈論としては正しくない」と述べた。日本の元内閣法制局長官の大森政輔氏は参議院で、「自衛目的であれば核兵器を保有できる」と述べた。大森氏は、日本は必要最小限の核兵器を保有できるとした。


 日本はかつて原爆を投下されたが、現在の日本は核兵器を作る技術と能力を持っている。核武装に向かうかは、日米同盟が日本の安全を効果的に保護できるか否かと、米国の「核の傘」が信頼できるか否かにかかっている。信頼できないと判断すれば、日本は安全問題を口実に憲法を改正し核武装に向かう。日本は現在、この口実により「敵基地先制攻撃能力」の強化を検討している。そのため日本の核政策に今後生じうる変動に要警戒だ。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年12月20日

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