日本のODA、変化する性質

中国網日本語版  |  2023-03-22

日本のODA、変化する性質。

タグ:ODA アジア 援助 外交

発信時間:2023-03-22 14:34:55 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

文=笪志剛・黒竜江省社会科学院北東アジア研究所研究員、北東アジア戦略研究院首席専門家

 日本の岸田文雄首相は先ほどインドを訪問した際に、いわゆる新たな「インド太平洋」行動計画を発表した。その中で、政府開発援助(ODA)を拡大し「戦略的に活用」し、「官民」合わせて2030年までに同地域の発展途上国のインフラ整備に750億ドルを投資するとした。

 世界の地政学的情勢の複雑な変化を受け、日本は米国が推進する「インド太平洋戦略」への追随を急ぎ、経済安全面で「中国のリスク」を誇張し、地域安全保障で「中国の脅威」を喧伝している。日本のODAも地政学的利用の傾向を強め、さらには陣営の対立を支えるという烙印を押されている。

 「官民」で「インド太平洋」抑制戦略を支える。岸田氏は今回、「官民」合わせてのODAを強調し、民間企業の受け入れを革新的な措置としている。しかし「自由で開かれたインド太平洋」を実現するための手段と明らかにすることは、日本のODAに地政学的な不純物を混入することに等しい。日本は安全の意図を盛り込み、その抑制の考えと目標を支えようとしている。戦後の日本のODAはアジアの発展途上国を重視し、特に東アジア、東南アジア、南アジアなどを重視している。岸田氏の新たな行動計画は、日本のODAを「グローバルサウス」の多い「インド太平洋」にさらに集中させることを意味する。拡大後のODAは日本の「インド太平洋戦略」を補助する経済の武器になる。

 その一方で、日本のODAの「戦略的な活用」によるインド支援の狙いは明らかだ。岸田氏はインドでいわゆる新たな行動計画を発表した。これは安倍政権時代に持続的に掘り下げられた日印関係と対照する一面があり、またグローバルサウスの代表を自称するインドを利用しその新たな行動計画をアピールする意図がある。ODAの旗印を掲げインドを支援することで、これを政治・経済面で中国に対抗する地域の駒とする。これは米日の「インド太平洋戦略」の長期的な需要に合致し、かつインド亜大陸の俯瞰から「インド太平洋」事業に移り主導権を発揮するというインドの考えと一致するとも見られている。

 ODAにより地域諸国のインフラ整備を支援すると同時に、日本の経済・外交の目標達成を支えることを非難できない。しかしODAを「インド太平洋戦略」の実現に用い、特定の国への包囲を働きかけ「どちら側につくか」という世論の雰囲気を作ることは、戦後日本のODAの理論や実践において称賛にまずまず値する準則に大きく背き、日本が経済・外交の安全問題への利用をさらにエスカレートさせるとの懸念を生む。さまざまな不純物が混入したODAがその性質を変えれば、アジア太平洋のグローバルサウスにもたらすメリットが大きく割り引かれる。さらに日本が対外支援の看板であるODAを自ら葬り、災いを招く可能性もある。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年3月22日

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