米日韓の協力、「東アジア版NATO」との開きは?

中国網日本語版  |  2023-08-24

米日韓の協力、「東アジア版NATO」との開きは?。

タグ:米日韓首脳会談  東アジア版NATO

発信時間:2023-08-24 15:09:22 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 先ほどの米国のキャンプ・デービッドで開かれた米日韓首脳会談で、3カ国は3カ国間協力を強化する一連の計画を発表した。首脳会談及び国防相と国家安全部門責任者を含む閣僚級会合を毎年開催し、3カ国の各分野のコードネーム付きの合同演習を毎年開催し、朝鮮ミサイル早期警戒情報リアルタイム共有体制を運用することなどを明確にした。これらの進展は、米日韓安全協力が東アジア初の制度化された多国間安全枠組みになりつつあることを意味する。米日韓安全同盟が形成中で、「東アジア版NATO」が間もなく誕生するとされている。

 NATOの関連条項をよく見ると、今回の米日韓協力の進展は「東アジア版NATO」に向かい「半歩」進んだと言える。「北大西洋条約」の中心的な条項は第四条と第五条だ。第四条は「締約国は、いずれかの締約国の領土保全、政治的独立又は安全が脅かされているといずれかの締約国が認めたときはいつでも、協議する」と、第五条は「締約国は、ある締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃とみなす。各締約国は、個別的又は集団的自衛権を行使して、必要と認める行動(兵力の使用を含む)を執る」と規定している。

 キャンプ・デービッドでの首脳会談後に発表された「協議に関する公約(Commitment to Consult)」で、米日韓は「3カ国全体の利益及び安全に影響を及ぼす地域の挑発・挑戦・脅威について、3カ国政府は速やかに協議し、情報を共有し、統一的に声を上げ、対応を調整する」とした。この規定は分かりやすく言えば「危機において3カ国は協議・対応する」ということで、北大西洋条約の第四条に対応するとも見れる。しかし同時に3カ国は第五条のような「共同防衛」を約束していない。これは米日韓安全関係とNATOの間にまだ大きな開きがあることを意味する。

 3カ国の「共同防衛」計画を妨げる主な問題は日韓関係だ。韓国側の当局者は、「韓日はまだ同盟関係ではない。3カ国の安全協力は特定の対象に的を絞った情報共有と、3カ国に共通する安全の利益に関わる問題を巡る協力に限られている。これはまだ3カ国安全協力体制に留まっている」と述べた。

 性質を見ると、首脳会談の文書にある3カ国の協力は「政治的約束」の性質を帯びており、法的な強制力を持たない。これは米日韓が正式な3カ国軍事安全同盟ではないことを示している。現在の3カ国関係は米日・米韓二国間同盟に基づく「準3カ国同盟」と位置づけられるだろう。

 短期的には米日韓が「東アジア版NATO」を構築する条件は整っていないが、、米日韓協力の「冷戦回帰」の動きについては油断できない。米日韓は「キャンプ・デービッド精神」などの文書の中で南中国海問題を公然と喧伝し、台湾関連の問題に干渉し、ウクライナ危機と朝鮮の核兵器の脅威を誇張し、中露朝の「3方面の脅威」を煽った。集団政治と陣営の対抗という冷戦の思考が強く、日韓を抱き込み地域の「新冷戦」を引き起こそうとする米国の危険な動きを示している。(筆者・項昊宇中国国際問題研究院アジア太平洋研究所客員研究員)

 「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年8月24日

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