日本の核汚染水海洋放出計画の開始は周辺諸国の人々の利益と関わる、全人類の安全な生活環境の深刻な脅威であり、国際法違反の疑いもある。しかし国際法違反そのものと、それに基づく日本への責任追及の間には一定の距離がある。重要なことは日本の核汚染水海洋放出計画による現実的で重大な損害を証明することにある。これに証拠が必要なことは疑うまでもない。
証拠は日本の核汚染水海洋放出行為と損害の結果を結ぶ橋で、日本の核汚染水海洋放出行為による損害の結果の責任を追及するための効果的な根拠だ。核汚染水の損害に関する証拠を効果的に集めようとするならば、国内・国際レベルで一連の措置を講じる必要がある。
(一)国内海洋観測機関による証拠収集。中国は漁業資料の統計を急ぎ、漁獲物を評価し、かつ沿岸部の放射線関連データなどの基本資料の観測を改良もしくは徹底し、前後の比較と国内外の関連データの比較を行うことで、日本の核汚染水放出による損害の現実的な賠償請求額を計算する。必要な場合は上述した資料をまとめ、証拠として国連の関連機関に提出できる。中国はさらに韓国の実践と経験を参考にし、核関連放棄の発表もしくは改正を急ぐのもいいだろう。国内の放射性物質観測の範囲を広げ頻度を高め、日本の核汚染水海洋放出に対応するため国内の法的根拠を提供する。
(二)国内の大気観測機関による証拠収集。中国は大気中の放射性汚染物質濃度の観測と追跡を強化するべきだ。日本側の発表の通り、核汚染水放出による最も主要な汚染物質がトリチウムであれば、海洋の蒸発の特性により相当量の汚染物が空気層に入る。トリチウムは質量が軽く拡散しやすいため、短期間内に大気中に基準値を上回るトリチウムを中心とする放射性汚染物質が見つかった場合、日本の核汚染水海洋放出活動との関連性の追跡がやりやすくなる。
(三)利害関係国との証拠収集。中国は利害関係国と外交などのルートを通じ早急に協力し、収集した核汚染関連データを交換し、共に日本の核汚染水の現実的な影響を全面的に評価するべきだ。これを踏まえた上で証拠の交換を通じ、利害関係国と足並みを揃え、環境汚染の責任追及に向け共に準備を整えるのもいいだろう。
(四)国際機関との証拠収集。中国はさらに多くの国際機関と意思疎通し、協力するべきだ。例えば核汚染水による汚染問題について、国際海事機関や世界保健機関などの権威ある国際機関と意見交換と協力を行うこともできる。これらの国際機関が核汚染水海洋放出行為を阻止できるようにするため、科学・法律レベルのサポートをさらに提供する。また中国は国連総会や国連のその他の職権を持つ下部組織を通じ、日本の核汚染水海洋放出行為の危害と国際法違反に関する権威ある法的な助言的意見を出すよう国際裁判所に要請できる。
証拠収集は、中国が現段階で日本の核汚染水海洋放出計画に対応する上で強化すべき内容だ。中国はデータを能動的に収集し、各レベルの国際協力により、日本の核汚染水による損害の証拠を全面的にまとめ、かつ日本の核汚染水海洋放出計画のさらなる実施を阻止し責任追及するため証拠を十分に揃えるべきだ。
(筆者・大連海事大学法学院教授、黄渤海研究院院長/大連海事大学法学院博士過程院生)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年8月25日