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失望しつつ防衛協力を模索する印日

中国網日本語版  |  2024-03-14

失望しつつ防衛協力を模索する印日。

タグ:インド 外相 高速鉄道 投資

発信時間:2024-03-14 10:42:38 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 インドのジャイシャンカル外相は先日、日本を3日間訪問し、第16回印日外相間戦略対話に出席した。日本の上川陽子外相と会談し、さらに岸田文雄首相、菅義偉前首相、安倍昭恵夫人らを訪問し、かつ印シンクタンク「Observer Research Foundation」が東京で開催した「ライシナ・ダイアローグ」と日経フォーラムに出席した。

 インド国内が間もなく大統領選挙を迎える中、インドの外相がこの時期を選び外遊するとは興味深い。これにはまず、大統領選に向け外部から気運を高める狙いがあるかもしれない。また防衛安全協力を強化し、印日関係に新たな原動力を注ごうとしているのかもしれない。モディ氏と安倍晋三氏の政権下で、印日関係は向上と質的変化を実現し、両国関係を「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」と位置付けた。ところが2020年8月に安倍氏が退任し、その後暗殺されると、インドとの関係を発展させる日本の意欲と熱意が大幅に低下した。

 日本はインドが自国のために戦略的な力を発揮するかを疑っている。中国の「高速鉄道外交」に対抗すべく、日本は赤字覚悟でインドの高速鉄道プロジェクトを請け負ったが、インドは日本の新幹線方式及び技術の顔を立てていない。また日本はASEAN主導のメカニズムとRCEPの交渉にインドを極力抱き込み、共に中国にけん制を図ろうとしたが、インドは最終的にRCEPの交渉から離脱した。日本はこれを受け、インドにいっそう失望した。

 その失望と同時に、インド側も日本に不満を持っているようだ。ジャイシャンカル氏は7日のフォーラムで、インドというGDPが3兆5000億ドルで経済成長率が7%のエコノミーには、欧米からのビジネス代表団がひっきりなしに訪れ視察するが、日本代表団の姿をほとんど見かけないと不満を漏らした。インドは、日本に特別な「優待」を与えたと考えている。例えば「アクト・イースト・フォーラム」は2017年に日本のために特設された、インド北東部の相互接続プロジェクトに参加するためのフォーラムだ。インドは日本企業に対して、アンダマン・ニコバル諸島の電力などのインフラプロジェクトの建設への参加のみを認めた。ただしこの程度のプロジェクトでは、日本のビジネス界の対印投資の熱意を掻き立てられなかった。インドはかつて日本企業に「用無しになったら捨てる」という手法を用いていたが、現在はこれを中国系企業に用いている。日本のビジネス界に、インド市場は「豚は太らせてから食え」であるという認識を与えている。彼らはやはり「足による投票」を選び、日本政府の戦略と足並みを揃えていない。

 さらに重要なことは、日本が自国の発展の将来に焦りを抱き、インドの発展を支援する熱意を失っていることだ。2023年にGDPでドイツに抜かれると、日本はインドがいつ自国を追い抜くかを気にするようになった。逆にインドは将来的に「日独を追い抜く」想像に浸っている。ジャイシャンカル氏は日本で、インドと中国はグローバル・パワー・シフトの重要な参加者であると気炎を上げ、中印は2075年にGDPが50兆ドルを超える唯一のエコノミーになるというゴールドマン・サックスの予測に同意した。これを背景とし、インドは半導体、AI、再生可能エネルギー、EVなどの新技術及び基幹技術の協力を実施する意向を日本に示している。インドが日本の焦りを無視ししていることは明らかだ。日本は質の低い生産能力をシフトしたがっているが、インドと新技術及び基幹技術の協力を実施することには興味がない。

 両国が戦略的に一致できるのは防衛協力のみで、その矛先は中国に向けられている。上川氏とジャイシャンカル氏の会談後の合同記者会見で、双方は二国間の安全協力を拡大し、双方の合同演習を拡大するほか国防装備品及び技術譲渡の協力も行い、同時に宇宙やサイバーセキュリティの新たな分野への協力の拡大も模索すると発表した。

 (筆者=林民旺・復旦大学南アジア研究センター研究員)

 「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年3月14日

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