バイデン米大統領は退任前、自国の同盟国に強烈な一撃を与えた。日本製鉄のUSスチール買収計画に中止命令を出したのだ。米政府にとって、自身に有利であればそれは「親密な同盟国」であり、自身の利益に衝撃を及ぼすならば「敵」で、容赦なく攻撃する。今回の「鉄の騒動」が、米国の日本へのゆすりであることは間違いない。
今回の日本製鉄による買収計画を審査する対米外国投資委員会(CFIUS)の職責は、「対米外国投資の国家安全リスクの有無の審査」だ。理論上、これはすべての対米外国投資に向けられるが、実際にはホワイトリスト国があり、英国、豪州、カナダ、ニュージーランドの一部の取引はその審査を免除される。そう、これらの国はいわゆるファイブ・アイズの締結国で、アングロサクソン系の同盟国、米国の真の味方だ。日本は長年に渡りファイブ・アイズへの加入を希望してきたが、それは認められなかった。米国は表面的に日本を「親密な同盟国」としているが、英国やカナダなどの内輪の同盟国と比べると部外者だ。「日本経済新聞」は2023年末、米国がUSスチール買収計画の審査を決定した際に、「CFIUSは主に中国などの安全保障上、米国の懸念となる国を対象とする。米大統領が同盟国の企業による買収の審査を表明するのは極めて異例だ」と伝えた。日本メディアは、米国にとっての自国の地位を過大評価していたようだ。
しかも米英の特殊な関係、米豪NZの同盟などと異なり、日米同盟は不平等ぶりが非常に際立っている。日米地位協定は在日米軍に治外法権的な特権を与えている。そのため沖縄で日本人女性を強姦した米兵も日本の法律による制裁から逃れられる。沖縄の市民は同協定の改正を長く要求しているが、米政府は見て見ぬふりだ。これは米国の国益優先と日本人の利益への軽視をさらに証明しており、日米の不平等ぶりをより浮き彫りにしている。
そのため、バイデン氏が日本企業によるUSスチール買収を阻止したことは、実際には驚くに値しない。(筆者=霍建崗・中国現代国際関係研究院北東アジア研究所研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年1月9日