日本の高市早苗自民党総裁が21日、新首相に選出された。就任後は外交で一連の試練に直面するが、中でも日米首脳会談が注目されている。高市氏は初の記者会見で、「外交の基軸は日米同盟」と明言した。高市氏が提唱する「日本は戻ってきた(Japan is Back)」のスローガンと「米国を再び偉大に(MAGA)」は、政策的共鳴を起こしているかのようだ。
しかしながら、日本経済の厳しい状況と政治の二極化が加速する中、高市政権は国益の擁護に注力せざるを得ない。日米両国の利益が衝突する局面での高市氏の選択については論議が噴出している。
遼寧大学日本研究センター客員研究員の陳洋氏の分析によれば、「Japan is Back」と「MAGA」の間には確かに政策的共鳴が存在する。ただし「MAGA」は国際的責務の軽減と国益優先を標榜し、同盟国に防衛費の対GDP比引き上げを求め、日本に在日米軍経費負担増や対米投資拡大などの要求を突きつける点で、同盟国の戦略的自律性を本質的に否定している。一方「Japan is Back」の中核は「自主性」にあり、憲法改正による集団的自衛権行使の実現、インド太平洋地域での主導的役割強化、「日本独自の主張」の確立など、米国への従属脱却を志向する。この構造から陳氏は、日米間の広範な共鳴は困難であり、2つのスローガンには潜在的矛盾が内包されていると指摘する。
貿易・サプライチェーン分野でも食い違いが顕在化している。高市氏は今年9月の総裁選で、石破政権が日米関税交渉で合意した約55兆円規模の対米投資について「再交渉を含む立場の堅持が必要」と発言。当時5人の候補者の中で日米協定の不均衡を指摘した唯一の人物だった。当選後は合意遵守を表明したものの、中小企業の保護や産業競争力の強化を目指す「日本企業優先」「輸出による国益増進」政策は、米国が求める「米国企業の利益保護」との衝突リスクを孕む。
日本国内の世論では、高市政権がこうした食い違いを調整するのは極めて困難との見方が支配的だ。「日本優先」政策に傾斜し、産業保護・貿易障壁・対米依存低減を推進すれば米国の反発を招き、国内の野党や一部産業グループからの反発も予想される。逆に日米同盟強化のため過度に対米妥協すれば、保守派支持層から「Japan is Back」公約の背信と見なされるリスクがある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年10月24日
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