林国本
中国共産党北京市委員会と北京市人民政府はさる3月28日、エコ文明をめぐっての動員大会をひらき、大気汚染、水質汚濁、ゴミ処理などへの対策と取り組みを徹底させることを明らかにした。
郭金竜市党委員会書記は、北京は首都であり、全国の政治、文化、国際交流の中心であることを強調し、美しい環境に恵まれたアメニティーの北京を築き上げようと訴えた。
郭書記は、北京はエコ文明、都市・農村建設の面で新しい状況に直面しており、それは人口のあまりにも速い増加、自動車などの増加などに現れている、と述べた。そして、今後、市民の関心の的である大気の質、水質汚濁、ゴミ処理などの対策に力を入れ、市民の皆さんにたえず新たな変化を見て取ってもらうようにしたいと述べた。さらに、エコ文明と生態環境の改善の面での取り組みを幹部に対する勤務評定の判断基準にするとともに、モニタリング・システムをつくり上げることを明らかにした。
今春開催された全人代と全国政協の会議ではエコ文明、大気汚染、水質汚濁などが議論され、記者会見の席では関係部門のトップがマスコミの取材に熱心に対応していた。国外の新聞でも北京や河北省の一部都市のスモッグについていろいろと報道されている。1908年の北京オリンピック開催の前後に、北京の大気の環境、交通事情は一時期改善したように見えたが、なにしろ急速なモータリゼーションやどんどんと進む都市再開発の中で、また元のもくあみとなってしまった。最近、子供の運転で北京の東部へ行ってきたが、2時間近くの渋滞にひっかかり、夕食が夜9時になってしまい、まったく往生したが、世界的な大都市へ向かって前進する北京の前途も、いろいろ解決しなければならない課題を抱えているようだ。
毎日ジョギングしていた人も、このスモッグでは健康によくないと考え、青空らしきものを感じ取れる日以外は、外出を避けている人もいる。私自身、仕事で郊外のリゾート地に一泊した夜、星空をひさしぶりに見て、もう10数年もこういう夜空を見たことがない、と感嘆したのを覚えている。
しかし、今の大気汚染はおそらく北京市だけでは解決できないのではないか、とも思っている。隣接する省や天津市とも連係して取り組まないと根治できないのではないか、と思っている。
北京には諸外国の多国籍企業のアジア総本部、諸外国の公館が置かれている。そしてさまざまな国際行事がひんばんに催されている。今のようなスモッグ、水質汚濁が続くことは、世界的大都市としてはイメージ・ダウンとなりかねない。そういう意味で北京市側の今回の決断はまったく時宜にかなったことと言える。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年4月22日