児童ポルノ画像を配布し児童にわいせつな行為を働いたとして指名手配され、中国で逃亡生活を送っていた英国人のニール・ロビンソン容疑者(46)が北京で26日、不法滞在の容疑で身柄を拘束された。同容疑者が以前、市内のインターナショナルスクール(IS)で教師を務めていたことが明るみになり、中国では外国人教師の雇用体制をめぐる不備を指摘する声が上がっている。北京晨報が報じた。
■以前の教え子が情報提供
ロビンソン容疑者に関する情報が最近、インターネット交流サイト最大手の米フェイスブックに投稿されると、「北京の某インターナショナルスクールで教えてもらっていた」という学生が複数現れた。学生らによって中国国内のサイトにも情報が転載されると、4月25日の時点で転載数は約10万回に達した。
この情報が広まると、子どもをインターナショナルスクールに通わせている保護者から学校側に問い合わせが相次いだという。
こうした状況を受け、北京市警察は市の各区・県教育委員会に捜査協力を要請。西城区教育委員会保安課の職員によると、同区は警察の要請を受けて、25日には管轄区内の全校に通知し、徹底調査を行ったという。
■学校側、保護者に「容疑者拘束」のショートメール
保護者らは26日午後、ミニブログ上で、「ロビンソン容疑者すでに身柄を拘束された。強制送還され、英国で起訴される見通し」という学校からのメールを受け取った、と明らかにした。
警察も26日夜、記者の取材に対し、「26日、不法滞在の容疑でロビンソン容疑者の身柄を拘束し、取り調べを行っている」と認めた。
英国で指名手配を受けている容疑者と同一人物であることがすでに確認されている。ロビンソン容疑者は、英国大使館付近で身柄を拘束され、パスポートの申請に向かう途中だったとの情報もあり、拘束の際、抵抗する様子は見られなかったという。ただ警察側の確認は取れていない。
■外国人教師の雇用体制に盲点
指名手配犯がインターナショナルスクールに務めていたことが明るみになり、中国では外国人教師の雇用体制をめぐる不備を指摘する声が上がっている。なかには、学校側が外国人教師の身分や経歴を調べることはできないとする報道もあり、保護者らは不安を募らせている。
中国では、外国人専門家局が発行する「外国人教師雇用資格証明書」を取得している学校のみが外国人教師を雇用できると定められている。この証明書を持つ学校でなければ、外国人教師に就労査証(ビザ)と外国人専門家証を発行し、外国人教師を合法的に雇用することができないというわけだ。
しかし実際には、外国人教師の雇用資格を持たない学校が学生を集めるために外国人教師を不法に雇っている場合も多い。外国人教師の派遣サービスを扱う企業も多く、なかには教員資格を持たない外国人の履歴書を改ざんし「名教師」に仕立て上げ、雇用資格を持つ学校に紹介する仲介業者もいる。
あるインターナショナルスクールの教員は外国人教師の雇用体制をめぐる問題について、「外国人教師の雇用資格を持たない学校や専門家証を持たない外国人教師を取り締まり、外国人教師の雇用体制を整備すると同時に、外国人教師に対する管理を強化していくよう関連部門に呼びかける必要がある」と指摘する。
「人民網日本語版」2013年4月27日