スペインの民間テレビ局・テレシンコの女性司会者のアイーダ・ニザールさんが4月に放送された番組内で、「中国人は人肉食べる」など、中国人を侮辱する発言を連発したのを受け、同テレビ局はこのほど、ニザールさんを解雇することを決めた。27日付スペイン紙の報道として人民網が報じた。
ニザールさんはトークショーの人気司会者で、司会する番組は高い視聴率を誇っていた。ただ最近になり、視聴率に陰りが見え始め、プレッシャーを抱えるようになったニザールさんは、同国に住む華人をやり玉に挙げ、「中華料理レストランは不衛生」、「中国人は脱税している」などと発言。非難が殺到したにもかかわらず、次は「中国の暴力団の内幕を暴く」などとしていた。
問題となった番組をめぐり、不衛生なレストランの「証拠」を撮影しようとニザールさんはスタッフらと共に中華料理レストランを訪問したものの、ニザールさんの撮影要求をすべてのレストランが拒絶。ニザールさんらは仕方なく、レストランの外で通行人を対象にインタビューし、巧みな編集を経て4月26日に放送された。その内容は、中華料理レストランでは、人肉が材料に使われていることや非常に不衛生で厨房にゴミ箱が全くないなどだった。さらに、ニザールさんが準備した「さくら」も、おかずに異物が混入しており、それをよく見ると犬に付けるドッグプレートだったと主張。「犬の肉」を「牛肉」として提供しているとまくしたてた。
その後、同番組は高い視聴率を獲得する一方、現地の中華料理レストランからは客足が遠ざかるようになった。そして、イメージを大きく傷つけられた現地華人らから怒りの声が上がり、華人団体が同テレビ局に何度も申し入れしただけでなく、中国駐スペイン大使館がスペインの外務省にスタッフを派遣して申し入れするまでに事態が発展した。それでも、ニザールさんは悪びれる様子は全くなく、番組の中で、次回は「中国の暴力団」の内幕を暴くとし、「脅しには屈さず、徹底的に暴露する」と発言した。
ニザールさんの暴言連発に、同テレビ局には視聴者から電話やメールで、「不衛生なことを示すシーンがないのはなぜか?」「人肉を提供している証拠は?」「料理に混入していたドッグプレートを映したシーンがない」などの抗議が殺到していた。そして最近になり、現地華人組織の呼びかけで、多くの華人が同テレビ局に集まり、座り込んで抗議を実施。参加者の中には、スペイン人の姿も多くみられたという。このような、現地華人やメディアの強い圧力を受け、同テレビ局は最終的に、ニザールさんの解雇を発表するに至った。
「人民網日本語版」2013年5月29日