林国本
今年は中国サッカー・チームにとって大変な年だった。タイ青年チームに1対5で負けたことはサッカー・ファンにとっても、選手たちにとってもショックだった。しかし、スポーツ主管部門が冷静に対応し、代行の形でナショナル・チームの監督となった傅博さんが上手に立ち直る方向へチームをひっぱっていったおかげで、だんだんと挫折のショックから脱出し始めている。
先般の東アジア・カップ大会では、男子2位、女子4位となり、チーム全体としてはよく頑張ったと評価されている。しかし、専門家たちはこの戦績を冷静に受け止めている。つまり、今回出場した日本チーム、オーストラリア・チームなどは最強の陣容ではなく、若手を鍛え、新メンバーを選ぶ機会としてこの大会に出場していたので、中国チームは最強の相手と対戦したのではないわけだ。したがって、有頂天になって、手放しで喜んではならないのである。それでも、今回男子、女子ともベストを尽くしてよく頑張ったというのはファンたちも認めている。
中国は卓球、ダイビング種目、バドミントン、体操などで世界でも強豪と認められているし、卓球など二、三の種目では国外にも監督、コーチを送り出している。それなのに、サッカーはなが年二流、三流のレベルで低迷している。ファンたちはイライラしている。それゆえに、タイ青年チームにこてんぱんにやられたことと今回の東アジア・カップ大会は、中国サッカーが立ち直れるためのきっかけになるのではないだろうか。
私見ではあるが、中国サッカー・チームはブラジル、ドイツ、オランダ、スペインと外国に学ぶ面で揺れ動いてきたことが低迷の原因のひとつではないかと見ている。外国のいいところはどんどん取り入れるべきだが、中国の特色あるサッカーを育て上げるには、サッカー種目の特色、トレーニングの法則といったものを深く掘り下げていく必要がある。そして、中国人の体質と上手に結び付けて、中国独自のトレーニング・システムをつくり上げていかなければならない。
外国人のコーチを招請する必要性は否定しないが、中国人の監督、コーチの中に人材がいないとは言えないのではないか。
日本は今やアジアでトップとなっているが、日本のサッカーは日本の特色を生かした上で、外国のいいところをどんどん吸収していることを見逃してはならない。また、女子サッカーにしても、アジアでは朝鮮チームもあなどり難いものがある。あれだけの人口で、経済発展レベルの面でもまだいろいろ課題を抱えていながら、あれだけ強いチームをつくり上げた点は大いに学ぶべきだと思う。中国の女子チームは朝鮮チームよりは恵まれているはずである。日本チームがなぜあれだけ強くなったのかについても、じっくり検討すべきである。今回の東アジア・カップが中国男子、女子サッカーの立ち直るきっかけになることを願っている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年8月1日