林国本
日本の「国体」に相当する中国の第12回全国運動大会が遼寧省で開かれ、連日テレビで実況放送や対談番組がオンエアされていた。中国は北京オリンピックの総合戦績で1位、ロンドン・オリンピックで2位となり、世界で注目される存在となっている。これからはスポーツ大国からスポーツ強国へ向かう時期にさしかかっている、といわれているが、大方の見方ではまだアンバランスが存在しているということである。例えば、ファンの人数が一番多いといわれるサッカーは数十年このかたアジアで二流の状態にあることがそれであろう。しかし、スポーツが今日のレベルに達したことはほとんどの人たちが評価している。
今大会ではベテランの活躍もあったが、ベテランの引退という話題もよく耳にするとともに、新人選手のデビューも目立った。アジア記録、大会記録の更新もあったし、全般的に見て中国スポーツ界の前進を目にすることができた。
今大会では、夜の開幕式を昼間に持ってきて、花火の打ち上げなどは取り止め、著名な歌手らによるパフォーマンスなども、スポーツ愛好者や大学生たちによる団体体操などに切り換えた。要するに商業色を薄め、スポーツの祭典そのものの特色を鮮明にした。
また、7人制ラグビーが今回から大会種目に組み入れられ、中国の人たちは初めて本格的なラグビーの試合を見ることができた。なにしろ、十数年前に北京農業大学で初めてラグビー・チームがつくられ、外国のラグビー関係者の指導を受けたり、ニュージーランドに選手を送り込んで3ヵ月もトレーニングを続けるなどの努力を重ねてきた。ラグビー用語も外来語をかなり取り入れ、片仮名という便利なツールのない中国ではたいへんなことだろうが、そのうちに慣れてくるに違いない。
今大会では、体育館、スタジアムの新築とともに、各大学にそれをつくるか、既存のものをリニューアルして万事節約に努めたらしい。それでも内装や設備などの点では近代化がすすめられているので、大会の運営はスムーズにいっている。
ただ今大会でこれまでに見られなかったのは、ラグビーの試合で、審判の判定に異議ありとして、消極的な態度をとるチームが現れたことである。このチームの関係者にはしかるべき処分が決まった。大会開幕式での選手、審判の宣誓を考えると、こういうことは起こるべきではなかったと思うが、これは主管部門の判断に委ねたい。特に国際試合では、起こってはならないのではないか。また、水上種目の試合で選手が溺れかかったのを他の省の選手が試合を放棄してまで救助にあたったことも美談として伝えられているが、今後はあらかじめ救助組織を待機させるようなシステムにしてはどうかと思う。
全般的に見て、今大会は中国スポーツ界のさらなる前進の可能性を示す、すばらしい祭典であると言える。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年9月21日