「読売新聞」の9月16日の報道によると、東電は、福島第一原発から漏れる汚染水は2016年末までに160万トン、2020年末までに330万トンに上ると発表した。また東電関係者は先日、福島原発は「未だコントロールできない状態」にあることを明らかにした。
このことは国際オリンピック委員会(IOC)の総会における安倍氏の「汚染水問題はすでにコントロールされている」という五輪招致演説が「虚言」であったことを意味する。この驚愕のデータと東電関係者の発言に、我々は福島原発には一体あとどれだけの虚言が隠されているのかと問いたくなる。
五輪招致演説での虚言
東京は汚染水が漏れる福島原発から230キロ離れた地にあるが、五輪招致当初多くの疑問の声が上がっていた。それでも東京は世界最大のスポーツの祭典、オリンピックの開催権を手にすることになった。
安倍氏は7日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開かれたIOC総会での招致演説で、「福島原発の問題は現在日本政府のコントロール下にあり、汚染水は現在福島原発の港湾0.3平方キロメートル以内にコントロールされており、しかも東京は福島から遥か遠く、東京は平和で安全だ」と声高らかに宣言した。
東電幹部の山下和彦特別研究員は13日の会議において、「東京電力が対策を立てているが、予想を超える事態が起こっており、遺憾に思う」と述べた。福島県のある議員が安倍氏の「状況はコントロールされている」という発言に同意するか、と山下氏に質問したところ、「私は依然コントロールされていないと思う」という答えが返ってきた。
安倍氏が7日のIOC総会で「汚染水はコントロールされている」と明言し、胸を張って安全を「保証」したものの、日本国内では国民や専門家からこの発言は余りに軽率な発言ではないのかという疑問の声が上がっていた。総会での投票前の数日、慌てて福島原発の汚染水対策をしていたのは、五輪招致だけが目的だったと考えるざるを得ない。
共同通信は、東電のずさんな汚染水管理の現状がまたも露呈し、これは安倍氏の発言と相違するものだと報じた。民主党の大畠章宏幹事長は、「安倍首相は福島県民ならびに全国民に対して汚染水問題がコントロールされていると発言した根拠を説明すべき」と指摘した。