「100ドル払ってバービーの服を買う人はいなかった」(米玩具大手のマルテ)
バービー人形は中国でかなり人気があったが、皮肉なことにバービーブランドはあまり知られることはなかった。マルテは2009年に上海で巨額を投じて世界最大規模のバービーフラッグシップストアをオープンした。6階立ての建物にはレストランやヘアサロン、バー、娯楽施設などが入った「廟宇」のような空間で、中国の消費者だけをターゲットにした中国版バービー人形まで開発した。ではどこに落とし穴があったのか。
失敗の要因は「店が大きすぎる」「高すぎる」「児童玩具と成人の娯楽を混在している」などさまざまな声が上がったが、最も大きな過ちは中国市場を読み間違えたことにある。マルテは児童玩具という視点には重きを置かず、中国の消費者にバービーの高価な服装や食品を売ることに躍起になった。しかし、中国におけるバービー像(イメージ)は、米国のような文化的象徴ではない。実際には中国の多くの消費者にバービーブランドという概念がなかったのだ。