ネット上では今年の受賞の可能性は高くないとするはないとする人も少なくなかった。昨年も村上氏は有力候補として名を挙げていたものの、結局受賞は莫言氏だった。今年もアジアの作家が受賞すれば、ノーベル賞の慣例に沿わない。
作品の俗っぽさは、村上氏の作品を否定的に見る人の一貫した意見だ。しかし、村上氏の作品の中国語訳を長年担当してきた林少華(リン・シャオフア)氏は、村上氏の作品は一般的意義での通俗文学ではなく、知性と審美を追求した「純文学」で、通俗的でも、低俗でもないと反論する。
受賞は時間の問題
村上氏本人は、ノーベル賞受賞にさほど大きな興味はないようだ。彼は本を書くことや一人でいる時間は好きだが、儀式やイベントは想像するだけも嫌で、ずっと避けてきたという。
かつて林少華氏は、村上氏の受賞は時間の問題だと話していたが、今年の受賞の確率は過去最低となった。評論家の白燁氏は、「村上氏の影響は中国でも大きく、純文学作品も通俗的な作品もある。流行になるような作品もあるが、ノベール賞受賞には結びつかない」と指摘する。ノーベル賞受賞者は一様にシリアス文学の一流作家ばかりで、それに比べると村上氏の作品は俗っぽさと流行という要素が見られ、販売部数は多くても、「文学の純度という視点からはそれが弱点になっている」と分析する。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年10月11日