資料写真・深刻な中国の大気汚染
中国は天然ガスをよりクリーンな空気を手に入れるための手段であると考えているが、中国国内の天然ガスの生産量では需要を満たす事はできない。専門家は「北京などの大都市への供給を確保することはできるかもしれないが、天然ガスの需要が高い北方の都市を満足させるのは依然として、極めて困難な事である」と指摘する。
供給不足の問題により、中国政府は天然ガスの供給調整に迫られ、天然ガス発電所の新規建設を禁止した。政府は先週、冬季に住居や公共交通機関に優先的に供給するため、新たな天然ガス利用者の増加を抑制する方針を示した。現在、天然ガスに転換する利用者が増えていることを受け、天然ガス不足は昨年に比べ、10%深刻になる見通しとなっている。
中国は2015年に天然ガスの使用量を2010年の2倍以上である2300億立方メートルに引き上げる方針を示している。しかし、国内の生産量の伸びと効率はパイプライン設備と貯蔵能力を下回っており、中国はますます輸入に依存するようになり、天然ガス不足の窮地に陥っている。
中国政府はインフレを抑制するため、価格を抑える措置を採っているため、天然ガスの輸入業者は赤字リスクにも直面している。米・環境保護団体のクリーンエア・タスクフォース(Clean Air Task Force)の東南アジア地域担当者である孫氏は「もし十分な天然ガスを確保できなければ、人々は再び裏で隠れて石炭を使うだろう」と指摘する。
中国は今、天然ガスの使用を迫られているものの、石炭が電力需要を満たすための主力であるという事実は変わらない。中国石油天然気集団公司(CNPC)の責任者は上半期、「新しい天然ガス供給施設を完成させるためには少なくとも4,5年はかかる。しかし、それでも需要には追いつかない。中国全体をアメリカのように、全部天然ガスへと転換するためには、数十年は必要である」との見方を示している。
需要の急速な高まりにともない、中国政府は北京を天然ガス供給の最優先地域に据えた。また、北京・上海・広州などの都市は汚染対策計画に従い、周辺地区からより多くのエネルギーを得ることができる見込みである。例を挙げると、北京は2017年、なおも広く石炭が使用されている山西省と内モンゴルなどの周辺地域から70%の電力供給を受ける見通しである。
(文・英ロイター社)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年11月3日