学生の数は減少しているが、学歴社会がはびこり、日中両国の学生は幼い頃から激しい競争に晒されている。大学進学後、進学の問題はひと段落し、経済面では両親が負担してくれ、生活のプレッシャーはそれまでと比べ大きく軽減される。それまで長い間張り詰めていた緊張の糸が一気に緩まり、これに加えインターネットやソーシャルメディアといった娯楽の普及によって学生生活が一気に豊かになる。大学生は親元を離れ自立した生活を送らなければならないが、精神的にはまだ未熟で、自己管理能力は弱く、これに加えて日中両国の大学の多くは「入るは難きで出るは易し」であるため、在校生を効果的に管理することができなくなる。そのため、学生が学業に興味がもてなくなったり、学業を放棄してしまうといったことも珍しくなくなる。
次に、指導方法と内容の「時代遅れ」も、今日の大学生のニーズを満たすことができず、一定程度「勉強嫌い」に影響しているといえる。
日本と同様、「改革」は中国の高等教育における近年のキーワードであるが、伝統を変えることは一朝一夕には実現し難い。しかも、「少子化」と「一人っ子政策」といった要素の影響で、90年代生まれの子どもは甘やかされて育っているため、困難に打ち勝つ力も社会に適応する力も限りがある。壁にぶつかるとすぐに諦めてしまう傾向があるのだ。
就職難も大学生が学業に集中できない要因になっている。
今日若者が高等教育を受ける機会は広がってるものの、就職先は飽和状態となりつつあり、経済成長の鈍化によって「卒業=失業」という厳しい現実に直面している。大学生は社会経験が少ないため、入学競争に引けを取らない就職競争のためにポイントを稼ぐ必要があり、そのため社会実践に積極的に参加しなければならず、必然的に企業実習などに多くの時間が割かれて学業に影響が出る。
文部科学省が2010年に行った調査によると、幼稚園から高校までの15年間、教育にかかる費用の総額はすべて公立に通った場合とすべて私立に通った場合でそれぞれ504万円と1702万円となった。中国社会科学院の「2012社会保障緑書」によると、中国の大学の学費も1989年と比べ25倍に膨れ上がっている。教育のコストが右肩上がりなのに対して大学生は勉強は嫌う、この現状を変えるには、一人一人の努力と、学校ないし全社会の努力が必要のようだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年6月4日