これまで一部の富裕層たちだけの話題であり、一般の庶民には無縁と思われていた「スマート住宅」が日本で合理的な価格で販売されている。
スマート住宅の概念が打ち出されたのは早いものの、具体的な建物はこれまで建設されたことがなく、1984年に米・ユナイテッドテクノロジーズ社が、ハートフォードに「インテリジェントビル」を建設して以降、全世界で「スマート住宅」が注目を集めるようになった。ただ、その後は長期間、技術と価格のふたつの壁にぶつかり普及が遅れていた。しかしここに来て、日本がその壁を世界に先駆けて打ち破った。
2013年6月、大阪府堺市に、敷地面積1万7000平方メートル、全65戸の、日本で初めてのスマート住宅の団地が誕生した。すべての住宅に太陽光発電システムと家庭用インテリジェントシステムが設置され、電力はすべて自給、家庭用品はオール自動化である。
電気システムは昼間の太陽エネルギーを蓄積することで夜間の使用が可能となり、その使用状況はインテリジェントシステムによってモニターされている。また電力が余れば電力会社に販売することもできる。電気代がゼロで二酸化炭素の排出もゼロである。
スマートハウスの中にある各種の設備(テレビ・音響機器、照明、採光、空調、セキュリティ、インターネット機器など)はすべてインターネットによってリンクされ、快適で安全な居住空間を提供している。
しかも驚くべきはその値段の安さ。土地・建物を含んで1戸あたり平均約4400万円である。日本が技術と価格の壁を破ったというのはこの意味である。
スマート住宅を開発しているのは三井や積水などの住宅メーカーだけでなく、トヨタやホンダ、東芝、住友、シャープなどの大手メーカーも力を入れている。さらには大阪ガスや関西電力などの公共企業も参入しており、まさに先を争って開発競争が繰り広げられている状況だ。最近では、日本産業技術研究所が複数の研究機関と組んで障害者向けのスマート住宅を共同開発している。
2011年の同市場規模は6343億円と見られているが、この先毎年2割成長を続け、2020年には1兆2800億円に達すると予測されている。
ある専門家はこれを「台風のような革命」と称して、新時代の住宅建設と社会の各方面に大きな影響を与えるものと見ている。