アメリカ食品薬物管理局は11月19日、成長が速くなる遺伝子組み換えのサーモンの販売を許可した。これは世界初となる食用の遺伝子組み換え動物である。許可された遺伝子組み換えのサーモンは、大西洋のサーモンの受精卵に、太平洋のキングサーモンの成長ホルモンおよびニシアンコウの不凍タンパク質を注入し、育成させたもの。こうすることで、大西洋のサーモンは寒冷な環境でも成長ホルモンを分泌することができ、成長期間が1年半に短縮する。「体つき」もかなり大きめとなる。これが発売されるになったことで、大きな議論が巻き起こっている。人々が最も知りたいのは、「遺伝子組み換えのサーモンは安全なのか」ということだ。
◆賛成意見:FDAの検証結果から安全に問題ない
アメリカでは、マサチューセッツ州のAqua Bountyという企業が、早くも1989年に太平洋のサーモンに遺伝子組み換え研究を開始している。1995年、同社は政府に申請書を提出し、遺伝子組み換えサーモンの販売許可を求めた。しかし、正式許可が下りるまでには20年の歳月を要した。アメリカFDAは長い審査を経て、遺伝子組み換えのサーモンは通常のサーモン同様に安全であると認めた。食用にしても無害に相当すると判断したのだ。遺伝子組み換えサーモンは化学成分や生物成分の面で、一般の大西洋サーモンと区別はなく、同じように安全で栄養があり、「販売の際は特別なラベルを貼らなくてもよい」としている。
またある研究では、遺伝子組み換えのサーモンが販売されれば、野生のサーモン資源の保護になるとの予測がなされている。
◆反対意見 人体と自然に対する脅威