温かな照明の下、丁炳才さんはサンザシ飴を手にした。孫はカメラのセッティングを終え、シャッターを切った。
丁さんは傘をさし、孫の傑西さんがファッション写真を撮影した。
高齢者の目は濁っていると言われるが、祖父の目は傑西さんに写され光を取り戻した。祖父の目は涙を含んでいたが、孤独で寂しいからではなく、形容しがたい幸福感と満足感があった。この長い年月を経て得られた温かさは、心の琴線に触れる。
これらの写真が有名になると、周囲の人の祖父に対する態度も変わった。傑西さんの父はあまり祖父と交流していなかった。口数の少ない親子は今や仲良しになり、外で散歩をする時に手をつなぐようになった。家族も祖父への関心を強め、孫は「有名人になった気持ちは?」と冗談を言った。丁さんは笑うばかりで、家族との触れ合いを楽しんでいた。
民政部門の統計データによると、2014年末時点の中国の60歳以上の高齢者は約2億1000万人で、うち15%が80歳以上となっている。傑西さんは使い慣れたカメラで、「孝」について説明した。「私たちにはまだ長い時間が残されているのだから、少しの時間を使い高齢者のお伴になろう」
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年2月12日