数年前の春のチョモランマ登山で、中国のある登山者が長時間の渋滞に巻き込まれ、登頂直前で撤退を余儀なくされた。最近こうした状況は決して珍しいことではない。
チョモランマ登頂に成功した、次仁旦達さんは「頂上につながる道はかなり狭く、最も狭い所では体を横向きにしてようやく通れるくらいだ。そのため途中では“渋滞”が普通に起きている。特に標高8300メートルから頂上までがピークで、30分以上動けないこともざら。まるで街中の渋滞のような感じだ」と話す。
チョモランマの登頂には毎年200~300人がチャレンジする。ルートは北壁ルートがメインで、最近では南壁ルートからの迂回グループが多く、渋滞の可能性がいっそう高まっている。
例年アタックは5月の中下旬に行われ、その5~6割が登頂に成功する。しかし天候条件などに恵まれた“アタック最適日”は長くて4~5日、短いときは2~3日しかない。このため100人を超える登山者の与えられた日にちはわずか数日という短さだ。
さらにチョモランマの天候は急変しやすい。安全を確保するためには気温が上昇する前に登頂しなければならない。そのために登山者は標高8300メートルのアタックキャンプを未明に一斉に出発する。その結果、山頂までの道が人であふれるのである。
今年チョモランマ大本営で登山隊の総指揮をしている桑珠氏によると「ルートの整備隊が19日登頂してから、20日には中国の14人のチームが登頂に成功し、さらに外国チームも次々と登頂した。整備隊の助けもあったため大きな渋滞はなく、登頂はスムーズにいった」という。
登頂の秩序を維持するために、チベット登山管理部は各登山チームに“アタック最適日”を無駄にしないよう、時間をずらすように求めている。すべての人がスムーズに、かつ安全に登頂するためには各チームの協力が不可欠である。ザイルなどの装備や気象予測情報などの共有もそうした協力の一つである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年6月3日