このほど発表された米アップル社のスマートフォン新製品「iPhone X」(アイフォーンテン)には顔認証機能が搭載された。数日前には浙江省杭州市のファーストフード店ケンタッキーで顔認証による支払いが可能になった。国有銀行も顔認証で現金を引き出せるサービスを始めた。このように顔認証技術を利用したアプリが激増している。だが、情報漏えいや、「顔情報」が盗まれて現金を下ろされたりしないか、整形したらどうなるのかといったような、その安全性を懸念する人も少なくない。「広州日報」が伝えた。
▽顔認証で現金引き出し
招商銀行のATMでの顔認証による現金引き出しサービスの手順はこうだ。まずATMの最初の画面で「顔認証引出」を選択すると、システムが自動的に写真を撮り、銀行が保有する写真情報資源と照らし合わせて個人を認証し、認証が終わると携帯電話の番号を打ち込んでもう一度身元の確認を行い、次に引出額と暗証番号を打ち込むと現金が出てくるという流れだ。これによりカードを出し入れをする必要がなくなる。
銀行の中には顔認証引き出しの限度額を設けているところもあり、招商銀行の場合は一日あたり3千元(1元は約16.9円)までだ。
▽顔認証企業に1億ドル規模の融資続々
顔認証による現金引き出し、決済、携帯電話のロック解除、鉄道駅の改札通過に、一部の大学や先端のオフィスビルでは顔認証で建物に入り、タイムカードを記録するなど、今や顔認証技術は公安、税金、教育、金融などさまざまな分野で幅広く応用されている。今後は関連情報と顔情報をリンクさせれば、身分証明書や銀行のキャッシュカードや微信(WeChat)のアカウントは必要なくなり、現金を持たずに出かけられるようになり、あらゆるカード類や鍵類が不要になる。
先端産業研究院がまとめたデータでは、2016年の中国の顔認証産業の史上規模は10億元を超え、21年は約51億元に達する見込みだ。今年7月には顔認証技術を手がける商湯科技がBラウンドで4億1千万ドル(1ドルは約110.5円)の資金調達に成功し、上海依図科技もCラウンドで3億8千万元を、北京曠視科技もCラウンドで1億ドルをそれぞれ調達した。