1997年2月、イギリスのRoslin研究所のイアン・ウィルマット教授率いるチームは学術誌『Science』でクローン羊「ドリー」の誕生を発表した。1996年5月に生まれた初のクローン哺乳動物である「ドリー」は動物界のスターになり、人類の生殖発育理論に対する認識を覆した。
「ドリー」の誕生から22年後、人類に最も近い霊長類であるカニクイザルのクルーンが中国で誕生した。中国科学院神経科学研究所の孫強氏、蒲慕明氏が率いる研究チームは、この2匹のクローン猿を「中中」と「華華」と名付けた。
5年かかったこの成果の論文は1月25日に学術誌『CELL』の巻頭に掲載された。中国科学院の季維智院士は『澎湃新聞』(www.thepaper.cn)の取材に対し、「クローン猿の誕生は時間的な問題だった」と語った。
中国でクローン猿が誕生したことについて、「同分野のトップを行っていた米国はなぜ成功しなかったのか」という疑問が持ち上がっている。2000年以降、米国の科学界はクローン猿の研究から手を引いた。その分岐点の1つとなったのが、ピッツバーグ大学のジェラルド・シャッテン教授の「ドリーのクローン技術をもとにクローン猿を実現させるのは不可能」という結論だった。
シャッテン教授のチームは6年間で724個の猿の卵子を使い33の胚胎を育成したが、成育させることはできなかった。
米国はクローン猿の研究から手を引き、研究の重心をCRISPR/Cas9をはじめとする遺伝子組換え技術に移した。一方、中国の科学者は研究を続けた。昆明理工大学霊長類転化医学院の季維智院長は、「一つは実験経費の問題、もう一つは集中力の問題。そのため、中国がこの成果をあげたのもごく自然なこと」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年1月30日