中国工程院の袁隆平院士率いる青島海水稲研究開発センターは28日、新疆ウイグル自治区、黒龍江省、山東省、浙江省、陝西省の6カ所の実験基地で海水稲の植え付けを同時に実施し、中国の広大な塩類・アルカリ土壌での優良海水稲の品種選びに向けて実験を開始した。
青島海水稲研究開発センターの張国棟副主任によると、植え付けは新疆ウイグル自治区の喀什岳普湖、黒龍江省の大慶、山東省の東営軍馬場、青島市城陽区、浙江省温州市、陝西省延安市の南泥湾で同時に実施。新疆の干ばつ・半干ばつの塩類・アルカリ土壌、東北の炭酸凍土塩類・アルカリ土壌、環渤海の塩類・アルカリ土壌、海浜小流域の塩類・アルカリ土壌、南東沿海の新生塩類・アルカリ土壌、次生塩類・アルカリ土壌、退化した耕地を代表し、中国の主な塩類・アルカリ土壌を全面的にカバーしている。
張国棟氏は、「今回の実験では海水稲の塩類・アルカリ土壌の各条件下での状況、生産料、味、コストを検証する。どの実験地も一部を青島海水稲研究開発センターが独自開発した四次元改良法で土壌を改良し、2~3年で塩類・アルカリ土壌を良田に変える、この方法はモノのインターネット(IoT)、ビッグデータ、人工知能(AI)などの技術に役立つ」と話した。
青島市城陽区委員会常務委員で区委員会弁公室主任の于冬泉氏によると、城陽区上馬街道の海浜塩類・アルカリ土壌稲作改良モデル基地で第1期1000ムーが着工した。同基地には展示ホール、実験栽培田などができ、将来的に都市田園コングロマリットの発展を模索し、新型の農業モデルプロジェクトを形成する予定。
海水稲の栽培が普及すれば、1億ムーの荒地が穀倉になり、袁隆平氏は期待を寄せている。袁隆平氏は、「中国が1億ムーの塩類・アルカリ土壌で水稲を栽培できれば、1ムーあたり収穫量は300キログラムになり、300億キログラムの水稲が増えることになる。これは湖南省の水稲収穫量に相当し、中国の食料安全の保障にひと役買うに違いない」と述べた。
2017年、青島海水稲研究開発センターは塩分0.6%の海水を使い、300種以上のアルカリに強い交雑水稲に対して全生育周期の灌漑を実施し、うちコード番号「YC0045」は1ムーあたり収穫量が620.95キログラムに達した。
また青島海水稲研究開発センターは同日、アラブ首長国連邦ドバイの荒漠での海水稲栽培および稲作改良プロジェクトは第1陣品種の実験を終え、うち1種類の1ムーあたり収穫量が500キログラムに達したと発表した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年5月29日