魚卵を加工して作られるキャビアは2000年以上の食用の歴史を有する。1980年代、多くの米国人がハシナガチョウザメ、オシェトラ、ホシチョウザメ(最高級のキャビアに使用される3種のチョウザメ)を区別できず、瓶に原料の魚の名称を記載すれば、加工した魚卵をキャビアとして販売できた。一方、フランスでは、チョウザメの魚卵で作ったものだけをキャビアと呼んでいる。
しかし、どのキャビアでも、これらの魚卵で作った「高級品」を大量に食べることは金持ちという証である。
米ワシントンポスト紙はこのほど、キャビアのイメージは曖昧になり、中国の低価格のキャビアが米国市場に大量に入ってきていると伝えた。これにより、米国市場のキャビアの価格は低下し、「高級品」という地位も失われつつある。
同紙は、世界最大の塩水湖であるカスピ海はキャビアの生産地として世界一有名だが、過剰な捕獲によりチョウザメなどの品種が絶滅の危機に瀕していると伝えた。米国は国内でキャビア用のチョウザメの捕獲を試みたが、無駄に終わった。
一方で、中国は同業界の主導者になりつつある。2017年の中国のキャビア輸出量は130トン超だったが、米国の総生産量は16トンにも満たなかった。同年、米国は中国から2012年の5倍の700万ドルのキャビアを輸入した。
米カリフォルニア州の業界関係者は、「8年かけて米国のキャビアを宣伝したが、国内のほかの小売業者と同じで、中国からキャビアを調達するようになった。中国に毎年行っているが、低価格で売ってもらえない。単純に安いだけ。過去5年で、ほとんどのミシュランレストランが中国のキャビアを使用するようになった。品質は良好で安定している」と話した。
米週刊誌『Time』ウェブ版は2017年、世界のキャビアの35%が中国産だと伝えた。世界が最高品質だと認めるキャビアはイランとロシアのハシナガチョウザメの魚卵を原料とするが、野生のチョウザメは極端に減少し、2000年に『絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約』は野生のチョウザメを絶滅のおそれのある物種と定義し、捕獲を正式に禁止した。これにより、養殖場が繁栄し始めた。
記事によると、現在市場に出回っているキャビアは養殖魚を主な原料としている。中国で生産する養殖キャビアの品質は野生のキャビアと遜色ないないため、中国産のキャビアは世界市場で評価されている。中国のチョウザメの品質は独特で、安い代替品というだけではない。
米ブルームバーグ社は「世界最高のキャビアがロシア産ではなくなった」という見出しで、以前はロシアとイランがキャビア輸出市場を牛耳っていたが、過剰な捕獲により、近年はロシアとイランのキャビア供給量が減少し、中国、日本、イスラエルなどがその不足を補うようになったと論じた。市場研究者によると、ロシアとイランの供給量には限りがあるため、中国のキャビア輸出業務が急速に発展し、質が良く価格が合理的で十分な供給量がある中国産キャビアは多くの顧客を引きつけた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年5月3日