米国連邦航空局とボーイングは2日にそれぞれ、ある機翼部品の製造に欠陥があり、世界の計312機のボーイング737 NGとマックスシリーズ旅客機で問題が生じる可能性があり、各航空会社に自主検査および問題のある部品の交換を促したと明かした。
2件の重大航空機事故により、米国など世界の多くの国と地域がボーイング737マックスシリーズの運航を停止している。部品の欠陥はボーイングのさらなる信用問題に関わるとみられる。
自主検査を共同促進
FAAは2日、同機関の「認証管理事務所」はボーイングと調査し、ある「下位供給業者」が生産した多くて148個の部品に欠陥があり、世界の133機のボーイング737 NGとマックスシリーズ旅客機に影響が及ぶ可能性があると判断した。米国で影響を受ける旅客機はそれぞれ32機と33機になる。
声明によると、「スラットレール」と呼ばれるこの部品は製造工程に不適切な点があり、強度と耐用性が基準を満たしておらず、不具合または亀裂などの状況が発生しやすい。不具合が生じても、スラットレールによる飛行機の損傷はないが、飛行中に航空機が損傷するのは危険である。
FAAは近く耐空指令を発表し、関連の航空会社に10日以内に問題の部品の交換を終えるよう求めた。また、各民間航空管理部門にこの状況に注意し、必要な行動を取るよう促した。
ボーイングは同日に公告を発表し、ある供給業者が生産した特定のロット番号のスラットレールが不合格である可能性があることを認め、航空会社に検査および特定の737型旅客機の関連部品の交換を促した。
ボーイングは影響を受けた可能性が最も高い21機の737 NGと20機のマックスシリーズ旅客機を探し出し、航空会社にそれ以外の112機の737 NGと159機のマックスシリーズの検査も行うよう助言した。交換用の部品の準備、交換作業に1~2日を要するという。
下位供給業者
スラットレールは機翼の前部、ガイドレールに沿って設置され、揚力を提供し、離着陸時に重要な役割を果たす。
ある匿名の航空業専門家はフランス通信社の記者に対し、スラットレールは「重要な装置」であり、スラットレールが対称に展延しなければ、航空機の両側の揚力が釣り合わず、離着陸時に極めて危険だと話した。
FAAとボーイングは問題のスラットレールの供給業者を具体的に明かしていないが、ボーイングはブルームバーグの記者にメールで、問題の部品は米国のSpirit Aero Systemsの供給業者が生産したと明かした。Spirit Aero Systemsは本社を米カンザス州ウィチタに置く世界最大の一級航空構造メーカーである。
新たな疑問も
インドネシアのライオン・エアとエチオピア航空の737マックス8型旅客機が2018年10月と19年3月に墜落し、計346人が犠牲になった。
2件の航空機事故により、ボーイングはコストが増加し、減産と自社株買い停止に追い込まれた。フランス通信社によると、以前は世界航空業の「黄金の手本」とされていたFAAだが、ボーイング旅客機の認証問題で信用にダメージが及んでいる。
また、米国の消費者ニュース・ビジネスサイトは、問題の部品交換により一部航空会社はシーズンである夏休みの運営に困る可能性があると論じた。737マックスの運航停止の影響で、運営会社は8月末までの多くの便を欠航せざるを得ない。
航空機事故で明るみになった737マックスの自動失速防止装置の問題および1年以上経ってようやく発覚した警報灯の不義愛に多くのパイロットが不満を抱いている。米旅客機パイロット協会のデニス・テイラー報道官は、「運航停止令の廃止に向けて期日を設定することだけはしたくない」との考えを述べた。
エミレーツ航空のティム・クラーク総裁はメディアに対し、「ほかの航空監督管理機関が米国側の飛行安全許可を再審査するため、ボーイング737マックスの運航再開に半年を擁する可能性がある。クリスマス前に再開できれば驚きだ」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年6月4日