年間10センチの地盤沈下 インドネシアが海壁建設で首都を守る

年間10センチの地盤沈下 インドネシアが海壁建設で首都を守る。インドネシアの首都ジャカルタの地盤沈下問題は解決が難しく、ジョコ・ウィドド大統領はジャカルタ周辺に壁を早急に設置して海水の進入を防止し、人口1000万人を超えるこの都市が海に沈まないようにしようと考えている…

タグ:地盤沈下 インドネシア 海壁建設

発信時間:2019-07-29 14:10:15 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 インドネシアの首都ジャカルタの地盤沈下問題は解決が難しく、ジョコ・ウィドド大統領はジャカルタ周辺に壁を早急に設置して海水の進入を防止し、人口1000万人を超えるこの都市が海に沈まないようにしようと考えている。

 

古い壁に亀裂

 

 ジャカルタ市の人口は1000万人以上で、周辺都市も合わせると、首都圏の人口は約3000万人になる。大量の水需要により地下水が過剰に採取され、都市建設も地盤沈下を激化させている。ジャカルタはジャワ島の北西岸に位置し、ジャカルタ湾に面し、窪地になっており海水が進入しやすい。

 

 ジョコ大統領は26日、ジャカルタでAP通信の記者に対し、海壁の建設プロジェクトを推し進める計画だと明かした。ジョコ大統領は「ジャカルタが海に沈まないようにするため、この巨大プロジェクトを迅速に行う必要がある。インドネシア政府は10年前にこの計画を検討し始めた」と述べた。

 

 ジャカルタ北西部のムアラバル地区では、地盤沈下の脅威が現れている。10年以上前に洪水が発生し、海岸沿いにコンクリート壁を設置したが、亀裂が入っている。

 

 AP通信の記者が確認したところ、海水が割れ目から道路に流れ、海壁から近いジャカルタ湾側にあるモスクは半分が水に浸かっている。2人の周辺住民は、床上浸水もよくあると話した。

 

止まらぬ地盤沈下

 

 ジャカルタは世界で地盤沈下が最も速い都市の1つである。インドネシア・バンドン理工学院大地測量学者のハリー・アンドリュアス氏は、ジャカルタ北部の一部では地面が海面より2~4メートル低く、年間20センチの速さで沈下し続けていると話した。

 

 ジャカルタは沈下し続けており、このままの速度でいけば2050年に北部の95%が水没し、ジャカルタの3分の1の地域が海に浸かることになるという。

 

 ジャカルタ市全体で見ると、年間平均10センチの速度で沈下している。また、世界の気候変動による海面上昇は状況をさらに悪化させている。

 

 ジョコ大統領は5月に大統領選挙に勝利し、第2期の5年の任期を得た。彼はAP通信の記者に対し、「重点プロジェクトと改革を推進する」と述べた。首都圏の圧力を解消するため、首都のジャワ島からの移転も検討している。

 

 インドネシアの約2億7000万人の人口の57%がジャワ島に集中している。ジョコ大統領は、「全ての金をジャワ島だけに集めたくない。ジャワ島の外も裕福にしたい。遷都は洪水と地震の脅威も考慮した措置で、首都を安全にし、災害から遠ざけたい」と述べた。

 

 ジョコ大統領は新首都の場所に言及せず、そこを行政の中心にし、ジャカルタを商業と経済の中心にするとの考えを示した。

 

進展が遅い

 

 AP通信によると、ジャカルタの海壁プロジェクトの予算は420億ドルで、3段階に分けて実施する。まず、既存の長さ30キロの防波堤を強固し、17の人工島を新たに建設し、最後にジャカルタ湾西側と東側に巨大海壁を建設する。

 

 同プロジェクトは壁建設費が高い、海壁の地元漁業への影響などの反対意見があり、進展は遅い。

 

 ジャカルタ北部の小さな漁港で、63歳の漁民のパンティさんは貝類を獲っている。彼は記者に対し、海岸工事が始まり、遠くまで捕獲しに行かなければならないと話した。彼にとっては水没も海辺での生活の一部だが、海壁は収入減に影響する。

 

 バンドン理工学院大地測量学者のアンドリュアス氏は、海壁の初期建設規模を縮小し、出費を減らすべきだと主張した。彼の構想は、まず20キロの海壁を建設して最も脆弱な地域を保護するというもので、元の計画より3分の2の削減になり、政府は時機を見てその他の地域の海壁の建設問題を解決できる。


「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年7月29日


TwitterFacebookを加えれば、チャイナネットと交流することができます。
中国網アプリをダウンロード

日本人フルタイムスタッフ募集    中国人編集者募集
「中国網日本語版(チャイナネット)」の記事の無断転用を禁じます。問い合わせはzy@china.org.cnまで