国内の大学で初めて、脳科学分野の本科生教育が始まる。浙江大学はこのほど脳科学・脳医学学院を設立した。生物医学(神経科学専攻)及び臨床医学(神経精神医学専攻)を設け、本科神経科学専攻の空白を埋める予定だ。
「脳科学の研究者は現在、主に生物学及び生物技術専攻の卒業生となっているが、彼らは大学で神経科学関連の知識教育をほとんど受けていない。これは彼らの科学研究活動の展開に不利だ」中国科学院院士、浙江大学脳科学・脳医学学院院長の段樹民氏は、「脳科学は高度な学際的・融合型の専攻で、数学、理科、化学、コンピュータ、情報学、生物学、医学、生物医学工学などの背景となる知識が必要だ。大学の段階から学生に学際的・融合型学科教育及び訓練を提供することで、脳科学研究の職業発展を力強く支援できる」と強調した。
人材不足、育成の需要を生む
脳科学は現在、最も挑戦的な先端学科の一つだ。段氏は「脳科学研究の規模と需要はすでに、多くの1級学科を上回っている。しかし中国の一般的な大学が提供する400以上の専攻には神経科学が含まれない」と述べた。
段氏によると、一般的に言われる「脳科学」は、より専門的な用語の「神経科学」と大きく重複しているが、後者の研究範囲の方が広い。
浙江大学脳科学・脳医学学院副院長の周煜東氏は「『健康中国2030計画綱要』は、脳医学などの社会で不足しているハイレベル医学人材の育成を強化するとした。脳医学関連分野の医師に的を絞った育成は現在、極めて少ない。統計によると、全国の精神科医の不足は10万人以上にのぼる。高水準脳医学人材の育成は、国の発展に関わる重大な社会的需要だ」と強調した。
段氏は、中国の脳科学発展の推進に取り組んでいる。段氏によると、脳科学が先進的かつ挑戦的であるため、その研究は長期化する。「10年で木を植え、100年で人を育む。長期的かつ高品質の脳科学・脳医学教育により、脳科学の研究と脳疾患の診療に持続的に一流人材を送り込み、かつ中国の脳科学研究及び脳疾患診療に重要な貢献を成し遂げられるはずだ」
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2020年1月8日