新型コロナウイルス 国内と海外のいずれで発生したかを論じるのは時期尚早

新型コロナウイルス 国内と海外のいずれで発生したかを論じるのは時期尚早。今回の新型肺炎の大規模流行が最も早く生じたのは中国の武漢であり、患者の体内から初めて新型コロナウイルスが検出されたのも武漢であるため、武漢が今回の流行の発祥地だ。しかしこれは新型コロナウイルスの感染源が必ず武漢にあることを意味しない。新型コロナウイルスは同じ時期に複数の発祥地を持つ可能性があり、さまざまな動物・集団・地域に由来している可能性がある…

タグ:新型コロナウイルス 感染源特定

発信時間:2020-03-02 14:37:24 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 「中国・WTO新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)共同調査報告書」(以下「報告書」)が29日、正式に発表された。報告書、それから環球時報の取材に応じた専門家も、新型コロナウイルスの確かな感染源を示す十分な証拠がなく、証拠がないままウイルスが国内と海外のいずれで発生したかを論じるのは時期尚早であるとした。


 報告書によると、新型コロナウイルスは新たに生じた病原体であり、現在の知識では「ウイルスの動物の感染源及び天然宿主」「初期段階の動物から人への感染プロセス」「早期の曝露歴が不明な患者」といった感染源への理解が限定的だ。動物由来のウイルスであり、武漢市で見つかった早期患者が動物から感染したことがすでに知られているが、2月25日の時点では動物の感染源が明らかになっていない。新型コロナウイルスとコウモリ由来のSARS様コロナウイルス「RaTG13」は、遺伝子の相同性が96%と最も近い。「コウモリは同ウイルスの宿主と思われるが、中間宿主については明らかになっていない」


 感染症との戦いが重要な段階を迎えるなか、各国の科学者はなぜ関連性が低いと思われる「新型コロナウイルスの感染源」に執着するのだろうか。北京大学医学部公衆衛生学院副院長の王培玉教授は1日、環球時報の取材に応じた際に「ウイルスの感染源の特定は感染予防・治療の軸だ。感染源を明らかにすることで、ウイルスの初期の感染ルート、突然変異の法則、潜在的なリスクを明らかにし、ウイルスの感染源からの感染予防・抑制に重要な科学的根拠を提供することが目的だ。学術界の研究により現在、センザンコウが新型コロナウイルスの潜在的な中間宿主であると証明されているが、数の少ないセンザンコウがこれほど大規模な感染を引き起こしうるだろうか。またウイルスがいかに動物から人類に至ったか、感染症がいかに人類社会で蔓延したかについては未知数だ。報告書は特に、新型コロナウイルスの動物の感染源が不明であることから、すでに感染症が発生している地域でウイルス再発の危険性を考慮しなければならないと注意を促した」と述べた。


 各国の一部の感染者には、中国への渡航歴や濃厚接触歴がないが、新型コロナウイルスが各地で個別に感染している可能性はあるだろうか。武漢大学医学部ウイルス学研究所の楊占秋教授は記者に、「感染症の大流行の基本的な要求に基づくと、今回の新型肺炎の大規模流行が最も早く生じたのは中国の武漢であり、患者の体内から初めて新型コロナウイルスが検出されたのも武漢であるため、武漢が今回の流行の発祥地だ。しかしこれは新型コロナウイルスの感染源が必ず武漢にあることを意味しない。新型コロナウイルスは同じ時期に複数の発祥地を持つ可能性があり、さまざまな動物・集団・地域に由来している可能性がある」と話した。


 報告書は、「2019年12月末から2020年2月中旬にかけて各地で採取された患者の検体から分離された104株の新型コロナウイルス株の全ゲノムシーケンシングを行った結果、相同性が99.9%にのぼり、遺伝子の明確な突然変異がなかった」とした。楊氏は「ウイルス発祥地の特定にはさらなる研究が必要だ。中国は疫学リサーチ活動、例えば最も早い患者間の関係の調査などを重視すべきだ。彼らの関係がどうであったか、彼らに海外渡航歴もしくは他人・動物との接触歴があるかといった非常に細かい問題、これらの患者間の内的関係を明らかにする。各部門・各分野の協力、ビッグデータの運用により結果を導き出すことができる」と述べた。


 米国のインフルエンザと新型コロナウイルスとの関連性について、楊氏は「可能性がないわけではないが、科学的な証拠が必要だ。米国の一定数のインフルエンザ患者の検体により患者の3分の1もしくは2分の1が新型コロナウイルスを持つことが分かり、武漢の最初の新型肺炎患者が米国人との接触歴もしくは米国への渡航歴を持ち、かつ体内のウイルスが米国で流行している新型コロナウイルスと相同性を示した場合にのみ、武漢の新型コロナウイルスが米国由来であることになる。これは米国の科学研究者がこのような遡及研究活動を行うか、研究結果を公表するかによって左右される」と述べた。


 王氏は「世界はすでに一体化を実現し、相互に頻繁に行き来しており、一国だけではウイルス蔓延を予防・抑制できない。中国の科学研究者が研究成果を世界に公表している以上、国際社会も全力で協力し、国を跨ぐ研究と論証により世界各地の新型コロナウイルスが同一種であるか、遺伝子配列上の差はあるかを明らかにし、その他の感染源があるかを判断しなければならない。うち世界保健機関(WHO)もより大きな力を発揮し、各国間で調整し、ウイルス感染ルートを極力遮断するべきだ」と指摘した。


「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年3月2日

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