海の風が吹きとても寒かった。私は途切れ途切れの電波の中、自分と娘がどうしたかを家族に大声で伝えるしかなかった。
待っているうちに夜になった。午前中に採取された検体のすべてが陰性だったと聞き、みなホッと一安心した。夜8時過ぎになり、クルーズ船の乗客が下船を開始した。
私と娘、それからその他の湖北省出身の乗客は下船後、天津浜海新区政府が確保したホテルで隔離を受けた。ホテルは環境が良く、泊まっていて安心できた。それまでずっと客船で海を漂っていたが、ついに陸に足をつけしっかり眠れるようになった。
現地政府からはとてもよくしてもらった。ホテルの従業員も親切だった。私たちが湖北省出身だからといって避ける様子はなかった。
私たちは毎日2回検温するよう注意された。ホテルは毎日違った料理を提供してくれ、食べたい物があれば作ると言われた。とても温かかった。
私も常に武漢の状況に注意していた。家族からは、武漢は感染状況が深刻なため、天津にできるだけ滞在し帰宅を遅らせるよう言われた。そこで私と娘は安心してホテルに宿泊した。
天津市に2月22日まで滞在してから武漢に戻った。帰宅後、クルーズ船での経験を振り返ると、実質的な危険は伴わなかったとは言え大変な思いをしたと感じた。
これにより天津に新たな感情が芽生えた。感染が終息したあと必ず天津を訪問し、この都市をじっくり目にしようと思った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年3月16日