世界の観光業はいまだ新型コロナウイルスの影響を受けている。
米国50州、首都ワシントンのほか、アメリカ領ヴァージン諸島、北マリアナ諸島、グアム、プエルトリコといった4つの海外領地もすべて厳しい状況に直面している。バージニア州では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で地元の観光消費が78%減少、ワイン産地の観光やイベントを中止した。スタントンにあるシェークスピアセンターは2020年の演目の録画放送を始めた。
デイリー・プログレス紙によると、地元で人気の野外公園も6月10日までのキャンプ場やログハウスの予約をすべてキャンセルし、観光案内所を閉鎖した。
フォーブス誌は「COVID-19ウイルスがラスベガスの灯りを消した」と題し、ラスベガスでついにパーティが終わったとした。2018年には約4200万人が訪れたラスベガス。MGMグランドやブルバード、ヴェネチアンリゾートといった主なカジノホテルはいずれも一時閉鎖した。
クルーズ会社の大型客船も停泊したままだ。米疾病対策センター(CDC)は今月9日、3月14日に出したクルーズ船の運航禁止令を新型コロナウイルスが公衆衛生上の緊急事態でなくなるまで延長した。
アラスカの感染者数は全米の中でも少ないが、アラスカを訪れる観光客のほとんどはクルーズ船を利用する。昨年の予測では、今年の夏休みにアラスカで過ごす観光客は過去最多の144万人を記録し、消費額は8億ドルに上るとの見通しで、そのうち90%はクルーズ船で到着するはずだった。
この週末は復活祭だったが。ハワイ・ホノルルでは3日間の復活祭期間中の夜間の活動を禁止し、地元住民の外出を規制した。現在ハワイに到着した観光客は14日間の隔離が必要だ。
ヨーロッパの観光業も深刻な打撃を受けている。
イタリア観光業の統計(Statista.com)によると、新型コロナウイルスの影響で、ホテル関連企業の破産が従来の7.4%から8.8%に上昇、観光業関連企業の破産も5.3%から7.9%に跳ね上がった。イタリアでは観光業に従事する人が労働力全体の5分の1を占める。
ここには世に名高いグルメ、文化、快適な気候とユネスコが認定する55の世界遺産の観光名所がある。仏AFP通信によると、復活祭はこれまでイタリアの観光シーズン到来の幕開けで、ホテルも値上がりするが、現在はどのホテルも閉まっている。イタリア観光協会の推計によると、今回の危機で損失は220憶ユーロに上る見通し。