8月1日夜に国立競技場で行われた東京オリンピックの陸上男子100メートル決勝で、中国の32歳の蘇炳添選手は歴史を打ち立て、「一生忘れられない体験になった」と話した。決勝戦のスタートラインに立つ8人のランナーのうち、蘇炳添選手だけがアジア人だった。準決勝で、蘇炳添選手は9秒83で1位となり、自己最高記録を更新し、アジアの記録を大幅に塗り替えた。中国人がオリンピックの陸上男子100M決勝に進出したのは初めてで、アジア人のスピードの限界を更新した。
陸上競技は「スポーツの母」で、100メートルは王冠の宝石のような存在と言われている。距離は長くないが、人間のもっとも原始的な力とスピードを競う。鑑賞性も非常に高く、陸上競技の100メートル決勝ではいつも特殊な入場の儀式が行われ、1日夜にはライトショーも行われた。
100メートルは「走りやすい」ように見えるが、実際は極めて難しい。これまでに10秒以内で走った人は100人ほどで、この成績を残すことは「天にのぼるより難しい」と言える。競技時間はわずか9秒ほどだが、すべての部分が完璧でなければいけない。この種目で、西アフリカ人は確かに才能があり、筋肉構造がアジア人と異なり、回復スピードも速い。近年、劉翔や蘇炳添ら中国選手は陸上競技で「人種理論」を打ち破り、すばらしい快挙を成し遂げたといえる。
ここ数年、中国の陸上競技の成績は急速に向上している。これは国全体の進歩と関係している。1989年生まれの蘇炳添選手、もっと若い選手らは、成長発育段階で吸収した栄養が先輩の選手と比べて大幅に進歩している。
また、トレーニングの科学性も大いに改善された。張培萌選手ら若い選手は米国のIMGトレーニングセンターで体力を鍛えた経験がある。紹介によると、世界の非常に多くの有名な選手がIMGで訓練した。その後、中国の陸上競技センターは「走出去、引進来(海外進出・外国の技術と人材の誘致)」政策を打ち出し、優秀な選手を海外に送り、優れた外国のコーチを中国に招いた。蘇炳添選手、謝震業選手のコーチも優秀な外国人である。また、蘇炳添選手は論文に、コーチは自分の体力と技術面の問題に基づいて的確なトレーニング計画を作成し、細かい部分を改善し、成績の向上効果が非常に高いと記した。