「possible」世界保健機関(WHO)が派遣した国際専門家及び中国専門家でつくる合同専門家チームは今年1月、武漢で新型コロナウイルス世界感染起源解明(中国部分)の活動を共同展開した際に、感染経路をめぐる4つの仮説について激しく議論した。コールドチェーンを含む各種感染経路の可能性について共通認識を形成し、コールドチェーンが新型コロナウイルスの感染経路であることを「ありうる(原文は「possible」)」とした。
合同起源研究活動に参加した中国疾病予防管理センターウイルス予防・抑制所の劉軍研究員は「これは5段階評価のうちの中間の可能性だ」と述べ、「これは無視できない可能性だ」と強調した。
劉氏は今回のWHO・中国新型コロナウイルス起源解明合同研究専門家チーム(以下「同チーム」)の、3つの専門分野活動チームのうちの「動物と環境」チームに加わった。他の2つは「疫学」チームと「分子疫学」チーム。うちコールドチェーンは環境中の起源の一つであり、主に劉氏の活動チームが調査と研究を担当した。
同チームの中国側チーム長の梁万年氏は、「有無を判断しにくいことから、この4つの仮説については可能性が非常に高い、可能性が高い、可能性がある、可能性が低い、可能性が極めて低いという5段階評価で判断した」と説明した。
梁氏は実験室流出という仮説について、専門家の観点は一致し、最終的に「可能性が極めて低い(原文は「extremelyunlikely」)」という共通認識を形成したと述べた。
起源解明、調査対象とされたコールドチェーン
ここで再びコールドチェーンに目を向け直そう。
同チームは華南海鮮市場内の感染者及びコールドチェーンの関連性を整理した際に、次のことに気づいた。華南海鮮市場内のコールドチェーン貨物関連区画の感染者が占める割合が、コールドチェーン貨物のない区画を大幅に上回っていたため、感染者とコールドチェーンの間に関連性があることになる。次に、コールドチェーン貨物区画の感染者の相対危険度がコールドチェーン貨物のない区画の3.3倍で、疫学的に見ると感染者の発症とコールドチェーンの間には一定の関係がある。さらに、武漢華南海鮮市場で最も早く報告された感染者3人が、いずれもコールドチェーン関連の作業に従事していた。
劉氏によると、中国疾病予防管理センターウイルス予防・抑制所の専門家が昨年年初、武漢華南海鮮市場の環境サンプルの検査を行ったところ、多くのサンプルが陽性反応を示した。これらの陽性サンプルは21区画のもので、うち16区画がコールドチェーン関連だった。
多くの角度から観察すると、コールドチェーンは起源解明活動の避けては通れない研究路線だ。
呼吸器疾患専門家である中国工程院の王辰院士は、「コールドチェーンを重点的な起源解明の手がかりとすべきだ」と提案し、「現在の国際貿易を背景とし、世界各地の人員及び物品の往来の状況下、コールドチェーン環境のヒト・モノ間の感染拡大は病原体の伝播の複雑性を高めており、特に調査と研究の価値がある」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年9月1日