張芸謀氏:閉幕式は開幕式とはまた違った雰囲気のものとなります。理由はいくつかあります。まず、会場も開幕式ほど条件が整っているわけではありません。「鳥の巣」は設計段階から、開幕式での演出効果を確実なものとするための特殊な施工が行われてきました。竣工した後も、開幕式のリハーサルは2カ月以上にわたって行われましたが、閉幕式については一部部分についてのみ、わずかなリハーサルしか行うことはできませんでした。
開幕式の後、「鳥の巣」は急ピッチで芝生の張り替えがほどこされ、陸上などの競技に使用されました。閉幕式については「鳥の巣」での本格的なリハーサルが一度もなく、24日の本番を迎えるのです。その演出は開幕式と同じレベルと言うわけにはいきません。次に、開幕式の演出は前回のアテネ五輪の手法を取り入れ、パフォーマンスが終わってから、選手団が入場しました。この方法により、有効に空間を利用することができました。しかし閉幕式は異なります。選手団の入場後に演出が始まるため、競技場内にのこされた空間は限られることになり、各種演出も相当の制約を受けることになるでしょう。さらに、これまでの五輪の閉幕式の歴史を見ると、そのメーンテーマは「お別れ」であり、「なごり」が表現されてきました。すなわち、独創性が大切なのではなく、より大事なのはアスリート達、審判の方々、競技役員の方々、ボランティアの方々、そして観衆の皆さんがオリンピックの栄光を共に享受でき、楽しむことができることなのです。そこには特別な演出など必要もないでしょう。開幕式が「中国」をメーンテーマに表現したとしたら、閉幕式は2008北京五輪の円満な終演への喜びが表現される場なのです。すべての要素は今回のオリンピック、そしてアスリート達にささげられるものです。彼ら、彼女たちが全身全霊を傾けた競技を終えた後、皆さんにはリラックスしてもらい、オリンピックの喜びを存分に享受してもらいたいと想っています。
記者:開幕式では「絵巻」が非常に印象的でした。閉幕式でも同じような演出がされるのでしょうか?
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