(1)学生トレーダー、教室に戻る
世界規模の金融危機は、中国人大学生の生活スタイルや物事を処理する理念にも影響を与えているようだ。一部の学生にとっては、教室では学ぶことのできない「挫折」を経験する機会となった。「中国新聞網」が伝えた。
某大学工学専攻3年の林君は今学期、授業への出席率がほぼ100%に達している。これまで2年余りの林君の学生生活を知っている講師やクラスメートにとっては想像もできなかったことだ。林君の授業態度ががらりと変わったのは、「とりあえず株をやめる」ことを決めたからだという。「決心をしたその日から、授業をさぼるのをやめた。その前は、朝から晩まで宿舎にこもって、コンピューターを前に相場を予想していた」。
4万元余りにのぼっていた林君の投資金は、1年もしないうちにみるみる減って、3万元近くが消えてしまったという。このことを思い出すと、かつての「大学生トレーダー」の表情はくもる。最初の資金の数万元は両親が出してくれた。「大学生も早くから財テク経験を積んでいなきゃいけない」「将来の仕事や生活にもきっと役に立つ」と説得を重ねて、やっと出してもらった。最初の1年余りは株式指数もうなぎのぼりで、相場は連日跳ね上がった。林君の投資も5~6割の含み益を出していた。だがその後、状況は一転。今はもう、見るも無残なポートフォリオが残るだけだ。
株式が上がっていた頃、林君ももちろん、数字の増加だけで満足していたわけではなかった。利潤の一部を現金化し、買い物をしたりもした。宿舎でマウスをクリックする生活で、2学期分の学費も自分で出した。だが元手の多くをなくしてしまった今は、両親に頼る生活を再開しなければいけないだけでなく、これまでの消費の仕方を改め、収入とにらみ合わせて支出を決めることも必要になった。
株式市場の下落後、これまで学業に対していいかげんだった林君は、学習への意欲を取り戻した。株価の急落は、21歳のこの青年に危機意識を持つことを教えた。「株式市場と格闘して生活していくには、自分の知識や考えや能力はまだまだ足りない。学習に対するいいかげんな態度を続けていたら、いつかは全部の元手をすってしまうことになる」。
|