中国には、結婚の妨げをするのは罪が深いという意味のことわざがある。そのため昔から別れることを勧めるのではなく、仲直りさせることを心がけてきた。しかし江蘇省の揚州市には、別れることを勧める会社がある。相手と別れたいが自分の口では言いたくない、言えない人に、別れさせるサービスを提供するという会社だ。この事業を始めたのは日本の大学院に留学していた範磊さんで、最低料金は500元。
韓国ドラマをヒントに「分かれさせ屋」
範磊さんは揚州市の大学を卒業したあと日本に留学し、昨年、中国に帰ってきた。銀行の内定が来たが、それを蹴ってでも範磊さんには試してみたいことがあった。「韓国映画『サッド・ムービー』の中に、恋人を別れさせる人が出てきました。ヒントはそれです。そのあとでネットで調べると、発展している都市にはすでにこの仕事をしている人もいて、私もやってみようと思ったのです」
主な業務は分かれさせること。方法は、範磊さんが赤の他人として当事者2人の感情的な揉め事に口出しするというもので、大学で心理学を専攻していた範磊さんにとっては朝飯前だ。
最初の依頼者は大学生
この「別れさせ屋」は非常に繁盛している。最初の依頼者は同じ市に住む大学生の王竜さん。王さんは3年付き合っている同級生の小楓さんがいた。小楓さんは卒業前に王さんに、自分は捨て子で本当の両親も知らず、引き取られて育てられたという秘密を打ち明ける。
一方、王さんの家は数千万元以上の財産があり、小楓さんのことを家族に話すと、これからの付き合いをやめるよう言われた。それに王さんは別の女性を好きになっていた。
家族の反対と新しく好きになった女性。小楓さんを長い間避けた王さんは、面と向って全てを小楓さんに打ち明ける勇気はなかった。
王さんから話を聞いた範磊さんはすぐに小楓と接触。最初は冗談だと思った小楓さんも、王さんに電話をして事実を確かめた。小楓さんとの交渉が始まったが、彼女は非常に反発した。しかし現実と範磊さんの意見を聞いた小楓さんは、最終的に王さんのことをあきらめた。
「一番、忙しかったときには半月に10組の恋人を別れさせました。でも毎回、成功するとは限りません。何日かけても別れさせられないケースもあります」
『分かれさせ屋』は合法?
しかし「分かれさせ屋」を認めず、依頼することもないという人たちは多い。揚州市の石塔弁護士事務所の袁春明弁護士はこう話す。「『分かれさせ屋』が合法的かどうかは今の法律では難しい。これは一種の新しいビジネス形態で、まず工商部門の登録と物価部門の料金の審査の許可を得れは合法的になります。そして情報コンサルタントとして登記し、実際には『分かれさせ屋』をすれば、今のところ管理や監督の関連法律はまだありません。こうした会社は業務が成功しなければ報酬を得られないため、業務を行う時には他人のプライバシーの侵害や、名誉を損なうようなことは避けないと、法によって罰せられることがあります」
「中国網日本語版」(チャイナネット) 2010年4月2日